午前7時、さっさと起きてチェックアウト。今日は蔚山(ウルサン)に行く。蔚山は釜山から約60キロ程度北にあり、韓国最大の自動車メーカー、ヒュンダイがある街でもある。なんか・・・少し釜山でゆっくりとしていきたいような気もするが、今回はサッカーを見るためだけを目的に韓国に来たのでそのまままっすぐ駅に向かう。釜山から蔚山 の間はかなり近いが両都市を結ぶ列車は一日4往復しかない。今回乗る予定の8時40分発ムグンファ号(急行)を逃すと次は13時となる。バスは15分おきに走っているし、数百円程度でいけるので普通はバスに乗るが、私はKRパスを持っている。意地でも汽車で移動する。
日本では殆ど見ることのできなくなった客車列車に乗って1時間30分、蔚山駅着。まだ午前10時30分。試合は午後7時開始でそれまでは何もすることがない。蔚山は工業都市なのでいわゆる観光名所と呼ばれるものはない。歴史好きにとっては・・ここから5キロほど離れたところに加藤清正の朝鮮出兵時に築いた城−倭城があるが、特に興味はない。まずタクシーに乗りホテルにチェックインする。ホテルは文字通り日本のモーテルでピンク色の怪しい外観に少しビビる。
前日の釜山もそうだったのだが何故ラブホテルやモーテルが日本で予約できるのかわからない。まあ、今日泊まるホテルは'Motel
In'だったので大体見当はついていたのだが、インターネット検索時はホテル名と部屋の写真しかないので外観の判断はつきづらい。
意を決して中に入る。といっても私は日本でも一人でラブホテルにはよく泊まっていた。私は某メーカー系のSEで、休日出勤、深夜残業は当たり前の毎日が続いていた、徹夜が続くと仮眠室では疲れが取れなくなるのである。会社は蒲田にあり、付近にはラブホテルが多い。ラブホテルは風呂もベッドも広く(当然だ)、部屋もビジネスホテルより大きい。一人で泊まらせてくれるのかと疑問に思う向きもあるが、ホテルからしてみると客は客である。そういうことで私自身は特に抵抗はなかったのだが、通常の旅行者だったらどうなのだろうと思う。
フロントのオバチャンは特にいぶかしがることも無く普通に受け付けてくれた。まだ午前中だが特に問題は無いらしい。部屋に入ってそのまま仮眠。ダブルベッドに入り、二つある枕の片一方を放り投げてそのまま惰眠をむさぼる。昼間何もしないのは韓国に来て初めてなような気もする。
腹が減ったので外に出る。食事をしたいが人通りは少なく店も閉じている。今日は制憲節、つまり憲法記念日であり祝日である。蔚山は人口百万人の広域都市ではあるが、工業都市の性格を持っているので祝日だとひっそりしてしまう。開いているのは床屋でサインポールがクルクル回っている。床屋といっても只の床屋ではない。韓国で赤白青のサインポールを回している床屋は風俗床屋と呼ばれている。中は確かに床屋であるが、髪をきるわけではなく代わりにお姉ちゃんがイカガワしいサービスをしてくれる場所である。私は興味がないわけではないが、こういう店はボッタクリも多く、不潔なところも多いので入ることはしない。
韓国滞在も3日目となり服のストックも無くなってきたのでスーパーに行き、買い物をする。生活じみてきたが、こうして細々と買っている内に時間も過ぎる。夕方になったので時間を見計らってスタジアムへ出発。
私が泊まっているホテルの真裏にタクシー会社の事務所があったので、休憩中の運転手に声をかけ、乗せていって貰う。蔚山文殊サッカー競技場は蔚山市のかなりハズレにある。タクシーは市街を抜け、走ること延々30分、深い森林の中にあるスタジアム、蔚山文殊サッカー場についた。約10キロほど走っただろうか、料金は7000ウォン(700円)。私は運転手にお金を払うと同時に、午後9時ちょうどにここに迎えに来てくれと頼んだ。
ダフ屋はいなかった。私は窓口でカテゴリー1のチケットを買い中に入った。蔚山文殊サッカー場は収容人数4万3千人。席の大半を屋根で覆われた2階建ての専用スタジアムで美しくかつ見やすい。虚飾を廃して機能最優先で作ると建築物はかくも美しく作れるのかという好例だと思う。
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