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2003.07.17

3日目 ベシタクシュ 2−1 リヨン

観戦記

初日 城南一和2−1ベシタクシュ
2日目 1860ミュンヘン 2−4 PSVアイントホーフェン
3日目 ベシタクシュ 2−1 リヨン
最終日 LAギャラクシー 0-0 1860ミュンヘン

 午前7時、さっさと起きてチェックアウト。今日は蔚山(ウルサン)に行く。蔚山は釜山から約60キロ程度北にあり、韓国最大の自動車メーカー、ヒュンダイがある街でもある。なんか・・・少し釜山でゆっくりとしていきたいような気もするが、今回はサッカーを見るためだけを目的に韓国に来たのでそのまままっすぐ駅に向かう。釜山から蔚山
の間はかなり近いが両都市を結ぶ列車は一日4往復しかない。今回乗る予定の8時40分発ムグンファ号(急行)を逃すと次は13時となる。バスは15分おきに走っているし、数百円程度でいけるので普通はバスに乗るが、私はKRパスを持っている。意地でも汽車で移動する。

 日本では殆ど見ることのできなくなった客車列車に乗って1時間30分、蔚山駅着。まだ午前10時30分。試合は午後7時開始でそれまでは何もすることがない。蔚山は工業都市なのでいわゆる観光名所と呼ばれるものはない。歴史好きにとっては・・ここから5キロほど離れたところに加藤清正の朝鮮出兵時に築いた城−倭城があるが、特に興味はない。まずタクシーに乗りホテルにチェックインする。ホテルは文字通り日本のモーテルでピンク色の怪しい外観に少しビビる。

 前日の釜山もそうだったのだが何故ラブホテルやモーテルが日本で予約できるのかわからない。まあ、今日泊まるホテルは'Motel In'だったので大体見当はついていたのだが、インターネット検索時はホテル名と部屋の写真しかないので外観の判断はつきづらい。

 意を決して中に入る。といっても私は日本でも一人でラブホテルにはよく泊まっていた。私は某メーカー系のSEで、休日出勤、深夜残業は当たり前の毎日が続いていた、徹夜が続くと仮眠室では疲れが取れなくなるのである。会社は蒲田にあり、付近にはラブホテルが多い。ラブホテルは風呂もベッドも広く(当然だ)、部屋もビジネスホテルより大きい。一人で泊まらせてくれるのかと疑問に思う向きもあるが、ホテルからしてみると客は客である。そういうことで私自身は特に抵抗はなかったのだが、通常の旅行者だったらどうなのだろうと思う。

 フロントのオバチャンは特にいぶかしがることも無く普通に受け付けてくれた。まだ午前中だが特に問題は無いらしい。部屋に入ってそのまま仮眠。ダブルベッドに入り、二つある枕の片一方を放り投げてそのまま惰眠をむさぼる。昼間何もしないのは韓国に来て初めてなような気もする。

 腹が減ったので外に出る。食事をしたいが人通りは少なく店も閉じている。今日は制憲節、つまり憲法記念日であり祝日である。蔚山は人口百万人の広域都市ではあるが、工業都市の性格を持っているので祝日だとひっそりしてしまう。開いているのは床屋でサインポールがクルクル回っている。床屋といっても只の床屋ではない。韓国で赤白青のサインポールを回している床屋は風俗床屋と呼ばれている。中は確かに床屋であるが、髪をきるわけではなく代わりにお姉ちゃんがイカガワしいサービスをしてくれる場所である。私は興味がないわけではないが、こういう店はボッタクリも多く、不潔なところも多いので入ることはしない。

 韓国滞在も3日目となり服のストックも無くなってきたのでスーパーに行き、買い物をする。生活じみてきたが、こうして細々と買っている内に時間も過ぎる。夕方になったので時間を見計らってスタジアムへ出発。

 私が泊まっているホテルの真裏にタクシー会社の事務所があったので、休憩中の運転手に声をかけ、乗せていって貰う。蔚山文殊サッカー競技場は蔚山市のかなりハズレにある。タクシーは市街を抜け、走ること延々30分、深い森林の中にあるスタジアム、蔚山文殊サッカー場についた。約10キロほど走っただろうか、料金は7000ウォン(700円)。私は運転手にお金を払うと同時に、午後9時ちょうどにここに迎えに来てくれと頼んだ。

 ダフ屋はいなかった。私は窓口でカテゴリー1のチケットを買い中に入った。蔚山文殊サッカー場は収容人数4万3千人。席の大半を屋根で覆われた2階建ての専用スタジアムで美しくかつ見やすい。虚飾を廃して機能最優先で作ると建築物はかくも美しく作れるのかという好例だと思う。

 早めに着いたが選手はもうアップしている。今日のカード、ベシタクシュ対オリンピックリヨンは一般的に見れば魅力的なカードなのだが、さて韓国ではどうなるか。ベシタクシュもイルファンが出れば面白いのだが怪我でお休み。それでもスタンドの客の入りはよく、団体が大勢座っている。・・・「団体」というのがミソなのであるが。

 席は2階席。ボケーッと待っているうちにキックオフ。両方ともアウェイユニホームでどちらがリヨンでどちらがベシタクシュかわからない。赤いユニフォームのメーカーはアンブロ、白いほうはプーマなので赤がリヨンだと判明。ガイドブックが売っていないからチームの見分け一つとっても苦労する。

 試合は格別面白いものでもなかったがレベルが低いというほどのものでもなかった。順位の見えたJ1中位同士の試合と言ったらよいのか、そんな感じだった。リヨンはこの試合に勝つとグループリーグの勝ち抜けがほぼ決まるので割りと攻める。大してベシタクシュはカウンター狙いに行く。ベシタクシュの狙いは功を奏してディフェンスの薄くなったリヨン陣内をかき回し先制点を上げ、同点にされた後もロスタイムに決勝点を挙げ、2対1で勝利を収めた。

 この試合、私が以外に思ったのは韓国人観客の見る目のよさであった。大人、子供、女性に至るまで皆試合を一生懸命見ている。私は韓国人は代表チームしか関心がないものと思っていたがそうでもないらしい。一つ一つのプレーに指をさし、サッカーオヤジが解説しているのを見ると、クラブチームレベルでもJよりはKの方が上回ってきたのではないかと見えるようになった。

 試合終了間際、また雨が降ってきた。韓国では雨が降るときは一気に叩きつけるように降る。私は試合終了と同時に席を立ち、ダッシュでスタジアムを後にした。行きにタクシーを降りた場所はシャトルバスに占拠されていたが、バスとバスとの間には件のタクシーが停まっていて私を待っていてくれた。タクシーの運転手は上機嫌で試合はどうだったか?楽しかったかと聞いてくる。「まあ良かった」と応えると、運転手は「私も見たかった」と言う。韓国においてはサッカーというのはそんなに熱中しているのだろうか。宗教団体が主催する大会など日本ではソレだけで黙殺の対象になるのだが。同一客が長距離を往復してくれたのだから運転手の愛想はいい。ホテル前につき、帰りの運賃7000ウォンを払う。私は1万ウォン札を差し出し釣りはいらないと言った。サッカーのチケットが3万ウォンでタクシーは30分乗って7千ウォンである。韓国ではタクシー運転手の賃金の低さは問題にもなっている。時間通りに迎えに来てくれたことだけでも感謝の気持ちを入れたかった。

 雨は強くなってきた。少し歩けば食堂街があるのはわかっている。ただ、今日はサッカーを見ただけで充分でもあった。ホテルの隣に日本でもおなじみのほっかほっか亭があったのでそれを買ってホテルの中で食べる。雨、深夜、異国と侘しい条件はそろっているが、これもまた旅。部屋の冷蔵庫にはマッコリ酒があったのでラッパ飲みをして寝る。明日は観戦最終日、温泉の町、大田でロサンゼルスギャラクシー対1860ミュンヘンの試合を観戦する予定である。

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