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初日:チャンピオンズリーグ 第4節
アーセナル-パナシナイコス

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 13時間のフライトの後、午後2時45分、定刻にロンドンヒースロー空港に到着。何回目かのヨーロッパだけど、こんなに日が高いうちに目的地についたのは初めてである。イギリスに来るのはは3度目。相変わらず入国審査でしつこく聞かれるので辟易する。普通は「目的は?期間は?」「観光、一週間」で終わるがヒースローだと「どこを見るの?」「サッカー」「カードは?」「・・・・アーセナル・・」まで言う。こういうやりとりをニコリともしない検査官とやるので疲れる。イギリスは外国人の不法就労に頭を痛めており入国審査が厳しくなっているのはわかるが、こちらだって逮捕権のあるセクションと1対1で話し合うわけだから緊張する。噂ではイギリスの入国スタンプが増えて来ると別室に連れて行かれて細かく聴取されるとのことだ。はあ。

 ヒースローから地下鉄ピカデリー線に乗って1時間、ロンドン中心部のキングスクロスに到着。ここの駅付近のユースホステルにチェックインする。できて間もないユースで、ドミトリーとはいえ清潔な部屋で印象がいい。

 これから一週間、イギリスでサッカーを見る。今までの海外観戦はは2部や1部のマイナーチームを意図的に選んで観戦してきたが、今回はメジャーチームを中心に見ようと思う。ワールドカップの上を行く最高レベルのサッカーとはどういうものなのか、それをテレビではなくではなく自分の目で見たい。サッカーに限らず自分の目で見なければ世の中はわからない。イラクで日本人バックパッカーが拉致殺害されたが、行った場所はともかくとして自分の目で現場を見たいという気持ちだけはわかる気がする。バックパッカーとはそういうものだから。

 日が落ちてきた。成田を出発してから14時間、起床してからほぼ24時間経っている。疲れているが、これから試合を見に行かねばならぬ。ベッドメークをした後、ユースを出て再度ピカデリー線に乗りアーセナル駅下車。見るのはもちろんアーセナルである。UEFAチャンピオンズリーグ第4節、アーセナル対パナシナイコスがハイバリーで開催される。

 見るのはいいとして、問題はチケットである。私は前もって買っていない。当日券など売っているはずもないので現地調達をせねばならない。ハイバリーにはダフ屋がいることはわかっていて、金を出せば手に入るのだが問題は価格だ。定価がわからないので落としどころもわからない。ここをどうするかだ。

 アーセナル駅を降りて地上に出た瞬間から何人ものダフ屋が私に声をかける。この段階で声がかかるということはチケットは買い手市場ということだ。ということはダフ屋からは後ででもかえるということで、まずはスタジアムへ行く。スタジアムのボックスオフィス(チケット売り場)はすべてSoldOutの張り紙がしてあった。ひょっとしたら当日券が売り出されているかも知れないという淡い期待はツユと消え、ダフ屋から買わざるを得ない状況になった。キックオフまであと1時間。さて・・。

 スタジアムに来た道をとぼとぼと歩くと「チケット、チケット」と何人からも声がかかる。ダフ屋もこんなにいると、どうやって手に入れたのかと思う。特に日本人は格好の的だ。金払いがいいのだろう。他にも日本人を何人かみたが、皆、チケットが欲しいというオーラが体から出ている。

 私は声をかけてきたうちの一人を呼びとめ、観戦スタンドの位置と定価、売値を聞いた。定価は43ポンド(約9200円)であったが売値はいわない。いくらで欲しい、と聞いてくる。交渉のセオリーはまず定価である。43ポンドなら50ポンドか。これは当然のことながらNO。逆に聞き返す。「いくらで売るつもりだ?」答えは「100ポンド」。

 ・・・私は考えた。定価43ポンドを最初の言い値100ポンドなら悪くは無い。もちろんこのまま買えば高いがスタートとしては妥当だ。しかし私は渡英初日なので疲れている。ケリは一気につけたい。私は言った。「70ポンド」彼は携帯電話を架ける。答えは「75ポンド」これに彼のコミッションがプラス5ポンド。計80ポンド(17000円)。・・・まあいいか・・。「OK」。交渉成立。私はチケットを受け取るべく胴元のいるパブに行くことになった。

 ハイバリーからブロックを3つほど過ぎたところにそのパブはあった。スタジアムからは結構離れており、周囲は暗く、閑散としている。警官ももういない。そのパブの前で何人かの集団が待機していた。このまま拉致されても仕方がない状況だが胴元はパシリの兄さんにチケットを渡すとそのままパブに戻った。彼は私にそのチケットを見せる。私は対戦カード、ホログラムの有無、価格を確認し代金を払った。長い間手に握られていたであろうチケットは折り曲げられていて少し汚い。

 ハイバリーのスタンド配置図は事前に調べておいたのでチケットを見れば座る位置がわかる。ノースバンクアッパー。つまりメインスタンドから見て右側ゴール裏2階である。X列149番ということは後方の中央か。いい席か悪い席かわからないが、まずは席は確保した。それにしてもチケット代17000円は今までの私のサッカー観戦史上ブッチギリの最高値である。興行全体としても数年前に見たオペラが15000円でこれが最高値なので、これすら越えている。はたしてアーセナルの試合レベルはオペラを超えるものなのか。今後の興味はここにつきる。

 買ったチケットを握り締め、私はスタジアムに戻る。試合開始まであと1時間を少し切った。イングランドのサッカーは試合開始直前までガラガラな上、スタジアム内は禁酒なので前もって食事を済ませておく。スタジアムの近くにはアーセナルサポがたむろしているパブがいくつかある。そこに入ろうとするとメンバーズカードの提示を求められる。ここに入れるのはクラブメンバー、チームの関係者、スポンサーなどで、私はそのどれにも該当しないので入れてもらえない。

 仕方が無いので屋台でサンドイッチと缶ビールを買う。ビールは持ち込み禁止なので飲んでから入る。急いで飲んだのでヘロヘロになる。スタジアムに入るた係員にチケットを見せる。チケットがニセモノか少し心配になったが幸い本物で、回転扉を押して無事スタジアムに入ることができた。

スタジアムに入る。私の観戦するノースバンクスタンドはゴール裏である。ハイバリースタジアムは恐ろしく古い建物で所々欠けたコンクリ壁が歴史を感じさせる。その欠けた壁片についても丁寧に白と紅に塗り分けられ古いながらも上品な雰囲気をかもし出している。ハイバリーの完成は1936年。今から70年前である。内部も同じように古く、エントランスから狭い階段を登ると数十年前に時間が戻ってしまう感覚を覚える。私は観客席に出た。


 このノースバンクがアーセナルコアサポーターのいる場所とされている。反対側ゴール裏がクロックエンドと呼ばれ、屋根には大きな時計がかかっている。クロックエンドの1階がアウェイサポーターの隔離席、2階がVIPのレストラン付スカイボックス席となっていて、中は煌々と灯りがともり別世界を作っている。その両ゴール裏を挟み込むような形でイーストスタンド(メインスタンド)、ウェストスタンド(バックスタンド)が向かい合っている。ノースバンクスタンドだけではない。各スタンドはレトロ感が漂い、超一流チームのホームスタジアムとは思えない。但し雰囲気はある。


 その4辺の各スタンドにキッチリと治まる形でピッチがある。ラグビーの使用を考慮しない正真正銘のサッカー専用競技場で、ピッチの外側はすぐに観客席である。広告看板は観客席にへばりつき、選手、コーチのベンチはメインスタンド中央を切れ込んだ中にある。つまり観客席のすぐ外側はタッチラインで、これは大宮や三ツ沢よりもずっと近い。古い観客席と全く相対するようにピッチ状態は完璧で美しい。レトロで小さいスタンド。そのスタンドに囲まれた美しい芝生。これはスタジアムというよりは貴族の箱庭と言ったほうが良いかもしれない。「たった」3万8千人の観客に対してだけアーセナルはチャンピオンズリーグを生で演じるのである。私は満足して席に着き、試合開始を待った。

 試合開始30分前だというのにスタンドはガラガラ。それでも試合開始10分前あたりからゾロゾロと入ってくる。そのタイミングを見計らってスタメンの紹介。プレミアの特徴はホームアウェイを意識しないで淡々とメンバーを読み上げること。ただし観客は敵にはブーイングと指笛、味方には拍手で呼ぶ。まあ味スタでのFC東京のスタメン紹介と同じと考えればよい。ただ、アーセナルキーパーのレーマンだけは拍手ではなく指笛がなり響いていた。レーマンは一対何をやらかしたんだ?ドイツ人はとにかくイヤ!ということなのだろうか。それならフランス人はいいのか?と思う。 選手紹介が終わると選手入場。そしてチャンピオンズリーグのテーマが鳴り試合開始。

 試合は1-1の引分けで終わった。試合見た感想としは、レベルは高いが期待していた「モノ」からすると物足りなかった。例えば普段、町の食堂で定食を食べている人間が高級フランス料理店で食事をしたらどうなるか・・「確かにうまいけど・・」という感想を持つようなものかもしれない。

 何故満足できなかったのか?それは「点を取るための手順」というのが見えなかったから。サッカーは点を取るためのスポーツだから、その道筋が見えないとプレーのレベルが高くても白けてしまう。  アーセナルの強さというのはベルカンプとティエリー・アンリの2人のフォワードがお互いに連携しあってマークをずらしながらゴールを決めるのが売りだと思う。このフォワードの強さに加えてアシュリー・コールズとパトリック・ビエラがディフェンスから攻撃陣にパスを出すというイメージがあった。しかしこの試合、ベルカンプがどうしたことか、攻撃に加われず、すべて左サイドのアンリだけを経由していた。これだとパスルートが一本になってしまい、敵に読まれやすくなってしまう。



 アーセナルのフォーメーションは4-4-2であるが、これが本当にフォワード2人、中盤4人、ディフェンス4人のわかりやすい形でトップ下がいない。多分ビエラが務めているのだろうが、観客席から見ている限り司令塔としての役割が見えない。左サイドのアシュリーコールズがボールを奪うとそのまま駆け上がり前線で待ち構えるアンリに出すだけ。中央からの攻撃というのが存在しないので駆け上がったアンリがセンタリングを上げるか突破してゴールを狙うかしかない。中央を使えない、サイドだけのワンパターンな攻撃を読まれてカウンターを喰らうという展開は、私は三ツ沢球技場でいやになるくらい経験している。

 アーセナル個人個人の能力は非常に高い。J1のどの選手よりも高い。しかしこのワンパターンな展開は、一言で言えばレベルの高い横浜FCであって(ほめてないよ)、閉塞感を伴うものでしかない。  信用されていない選手にはボールは回らない。それはストリートのフットサルからチャンピオンズリーグまで共通した約束事で、結果的に見ればベルカンプの不調が試合のクオリティ低下を招いてしまった。展開はアンリが強引に抜こうとしたところをパナシナイコスがペナルティエリア内でファールを犯しPKを得る。これをアンリ自らが決め先制。スタジアムはこのまま1-0でアーセナルの勝ちか、という雰囲気が漂っていた。

(翌日に続く→) 

 
 
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