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バイエルン - レバークーゼン(後編)

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初日
RW・エッセン - F・デュッセルドルフ(前編)
RW・エッセン - F・デュッセルドルフ(後編)

2日目
バイエルン - レバークーゼン(前編)
バイエルン - レバークーゼン(後編)

3日目日
リエージュ - ラ・ルヴィエール

4日目日
マーストリヒト-エクセルシオール

最終日
帰国へ
(←前編からの続き) 

 試合は予想通りバイエルンの面白みのない攻めに終止する。バラック、マカーイと強力な前線を持っているにもかかわらずスペースに走りこんでパスを受けるといようなサッカーはしない。バイエルンの監督のマガトはシュツットガルトから引き抜いた名将だが、シュツットガルト時代に見せたクラニーをトップとするファンタジーサッカー(これは言いすぎだが)はバイエルンでは見せてくれない。そこにあるのはキッチリ守ってキッチリ1点という堅実なサッカーである。誰が出ても同じパフォーマンスで試合を勝つというのは褒めていいと思うけれど選手の個性が見えないサッカーというのは少々寂しい。私はバイエルンではハーグリーブスが好きだったが今日はベンチにも入っていない。バイエルンでは数少ないオーバーラッパーであるだけに残念だ。

 レバークーゼンは毎年いい選手を補強するのだが同時にいい選手も放出し、結果的には毎年苦しいシーズンを送っている。今日の試合、バイエルンで先発しているバラック、ルシオ、ゼ・ロベルトは元々レバークーゼンの選手だった。それがシーズン終了後バイエルンに引き抜かれ、今度は敵として戦う。正直、私はレバークーゼンのフロントの考え方が理解できない。運営が苦しいから売るというのはわかるけれども、何故売却先がバイエルンなのだ、と思う。レバークーゼンはブラジルセレソンのルシオを売却した変わりに同じくセレソンのホッキジュニオールを買った。そういう機転が効くよさはあるけれど、トータルで見れば結局は苦しい。毎年毎年バイエルンに選手を売るのならマイスターシャーレの獲得は難しいだろう。ブンデスリーガ全体に言える悪いところなのだが、そういうフロントスタッフの戦略のなさのツケを監督に負わせているフシがある。レバークーゼンもこの数節前にアウゲンターラー監督を解任した。毎年チームの半分がシーズン途中で解任するリーグなど異常というしかない。

 レバークーゼンは選手に覇気がない。絶対にバイエルンに勝つんだという気持ちが伝わってこない。ブット、ラメロウ、シュナイダーと、何年も前から在籍している選手が特にひどい。監督が変わって間もないため戦術が浸透していないのかもしれないが、フェラーのような元代表監督がテクニカルコーチなのだからもっとやりようがあるのに。と思う。

 レバークーゼンはそれでも良く耐えた。前半は無得点でしのいで後半勝負か、と思割れたが、前半終了間際、レバークーゼンゴール前の混戦の中でバラックがドサクサにまぎれてゴールを決めバイエルン先制。つまんねー。テンションが一気に下がって前半が終了した。はあ。

 前半が終わったあたりから気温の低さが気になる。とにかく寒い。完全防寒装備の私ウェアが全く意味を成さないほど寒い。こんな中でサッカーをやるのは勝手だが見ている分にはかなり辛い。マイナスで10度程度はあるのだろうか。アリアンツアレーナの芝の状態がかなり酷いが、この気温では仕方がないだろう。

 後半、レバークーゼンの反撃に期待したかったのだが、ベンチも選手もそんな気配は見せなかった。バイエルンは1点取ったのでもう充分とばかりに引き気味に試合を進める。両チームとも攻めないので見るべきポイントはなかった。バイエルンは終了間際に新鋭シュバインシュタイガーを投入したので追加点を取りに行くかと期待したのだがそれもかなわず。マガトスクールの子供達は先生の教えを忠実に守って無失点で試合を終わらせた。1-0でバイエルンの勝ち。

 試合が終了すると同時に観客はいっせいに引き上げる。バイエルンの選手がゴール裏に挨拶に行く頃には残っている観客はゴール裏だけになってしまった。寒かったのは気温でも試合内容でもなく、漫然と観戦に来ているサポーターたちなのかも知れない。この試合を通してみてつくづく感じたのは高みの見物を決め込んでいる観客の多さだった。もちろん私もその一人だが、地元の熱というものはなかった。すべてにおいて予定調和。そんな感じの試合だった。

 なんだかなあ・・という気持ちでスタジアムを後にする。赤く染まったアリアンツ・アレーナが宇宙船のような異様さをはなっている。スターウォーズの入場行進曲が妙に似合っている。ただ、今日はフットボールの匂いはしなかった。清潔で安全なスタジアムで繰り広げた試合は純粋な意味での「興行」だった。アリアンツ・アレーナでカーンを見るのもディズニーランドでミッキーマウスを見るのも大して変わらないのかもしれない。それはスタジアムに横付けされた非常に多くの観光バスの数からも読み取れる。みんな新しいスタジアムでサッカーが見たかったんだなあと。古くて見づらいオリンピアシュタディオンにおけるバイエルンの試合は閑古鳥がなき、アリアンツアレーナでは毎試合満員というのはそういうことなのだろう。

 日は暮れ、気温は一段と下がってきた。昼間はサクサクだった雪も今ではガッチリと固まって足を乗せえるとツルツルとすべる。私は出口を間違えたために真っ直ぐに駅まで帰れない。スタジアムに沿って歩けば元に戻るだろうと考えていたがそれは甘かった。スタジアム横には数千台収容の駐車場があって、元に戻るにはそこを全部越さなければならなかった。人気のない道路をトボトボと歩いていくと妙に寂しくなった。何も考えずにもくもくと歩く。駐車場のフチが切れてそこを曲がると遠くのほうに駅が見えた。普通に歩けば20分程度で駅にたどり着く道路を1時間以上かけて歩いたことになる。

 行きの電車は超満員だったが帰りはガラガラだった。マリエンプラッツで乗り換えてホテルに戻る。今日泊まる所はミュンヘンの郊外、シュタンベルク湖に近いところにあるプチホテルである。1時間ばかり電車に乗り、ホテルに戻るとホッとする。オーナーは日本人で、日本語が通じるのも嬉しい。それにしても昨日のエッセンと今日のバイエルンの試合。続けてみるとレベルの高さと試合の面白さは本当に一致しないことをつくづく感じさせられる。

明日の試合はどうなるのだろうか。明日はケルンに戻り国境を越えてベルギーに抜ける。ベルギー1部ユピラーリーグ、スタンダールリエージュの試合を観戦する予定である。

(翌日に続く→) 

 
 
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