試合は予想通りバイエルンの面白みのない攻めに終止する。バラック、マカーイと強力な前線を持っているにもかかわらずスペースに走りこんでパスを受けるといようなサッカーはしない。バイエルンの監督のマガトはシュツットガルトから引き抜いた名将だが、シュツットガルト時代に見せたクラニーをトップとするファンタジーサッカー(これは言いすぎだが)はバイエルンでは見せてくれない。そこにあるのはキッチリ守ってキッチリ1点という堅実なサッカーである。誰が出ても同じパフォーマンスで試合を勝つというのは褒めていいと思うけれど選手の個性が見えないサッカーというのは少々寂しい。私はバイエルンではハーグリーブスが好きだったが今日はベンチにも入っていない。バイエルンでは数少ないオーバーラッパーであるだけに残念だ。
レバークーゼンは毎年いい選手を補強するのだが同時にいい選手も放出し、結果的には毎年苦しいシーズンを送っている。今日の試合、バイエルンで先発しているバラック、ルシオ、ゼ・ロベルトは元々レバークーゼンの選手だった。それがシーズン終了後バイエルンに引き抜かれ、今度は敵として戦う。正直、私はレバークーゼンのフロントの考え方が理解できない。運営が苦しいから売るというのはわかるけれども、何故売却先がバイエルンなのだ、と思う。レバークーゼンはブラジルセレソンのルシオを売却した変わりに同じくセレソンのホッキジュニオールを買った。そういう機転が効くよさはあるけれど、トータルで見れば結局は苦しい。毎年毎年バイエルンに選手を売るのならマイスターシャーレの獲得は難しいだろう。ブンデスリーガ全体に言える悪いところなのだが、そういうフロントスタッフの戦略のなさのツケを監督に負わせているフシがある。レバークーゼンもこの数節前にアウゲンターラー監督を解任した。毎年チームの半分がシーズン途中で解任するリーグなど異常というしかない。
レバークーゼンは選手に覇気がない。絶対にバイエルンに勝つんだという気持ちが伝わってこない。ブット、ラメロウ、シュナイダーと、何年も前から在籍している選手が特にひどい。監督が変わって間もないため戦術が浸透していないのかもしれないが、フェラーのような元代表監督がテクニカルコーチなのだからもっとやりようがあるのに。と思う。
レバークーゼンはそれでも良く耐えた。前半は無得点でしのいで後半勝負か、と思割れたが、前半終了間際、レバークーゼンゴール前の混戦の中でバラックがドサクサにまぎれてゴールを決めバイエルン先制。つまんねー。テンションが一気に下がって前半が終了した。はあ。
前半が終わったあたりから気温の低さが気になる。とにかく寒い。完全防寒装備の私ウェアが全く意味を成さないほど寒い。こんな中でサッカーをやるのは勝手だが見ている分にはかなり辛い。マイナスで10度程度はあるのだろうか。アリアンツアレーナの芝の状態がかなり酷いが、この気温では仕方がないだろう。
後半、レバークーゼンの反撃に期待したかったのだが、ベンチも選手もそんな気配は見せなかった。バイエルンは1点取ったのでもう充分とばかりに引き気味に試合を進める。両チームとも攻めないので見るべきポイントはなかった。バイエルンは終了間際に新鋭シュバインシュタイガーを投入したので追加点を取りに行くかと期待したのだがそれもかなわず。マガトスクールの子供達は先生の教えを忠実に守って無失点で試合を終わらせた。1-0でバイエルンの勝ち。
試合が終了すると同時に観客はいっせいに引き上げる。バイエルンの選手がゴール裏に挨拶に行く頃には残っている観客はゴール裏だけになってしまった。寒かったのは気温でも試合内容でもなく、漫然と観戦に来ているサポーターたちなのかも知れない。この試合を通してみてつくづく感じたのは高みの見物を決め込んでいる観客の多さだった。もちろん私もその一人だが、地元の熱というものはなかった。すべてにおいて予定調和。そんな感じの試合だった。 |