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3日目日:リエージュ - ラ・ルヴィエール

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初日
RW・エッセン - F・デュッセルドルフ(前編)
RW・エッセン - F・デュッセルドルフ(後編)

2日目
バイエルン - レバークーゼン(前編)

3日目日
リエージュ - ラ・ルヴィエール

4日目日
マーストリヒト-エクセルシオール

最終日
帰国へ
(←前日からの続き) 

午前7時30分、ホテル出発。一般にヨーロッパのホテルは朝食代が込みになっているのだが、食事の提供が8時からなのでやむを得ず何も食べずに宿を出る。値段の高いホテルだったので口惜しい。平日は7時に朝食が始まるのだが、今日は日曜日で朝が遅い。ドイツは他の周辺国よりもキリスト教の影響を強く受けていて、日曜日はとにかく休むの、働いちゃダメなの、と国全体で叫んでいるような気がする。日本のように24時間店が開きっぱなしなのもどうかと思うが、ドイツの閉店法のように日曜日は店を開いてはならぬ、というのは絶対にやりすぎだろう。インターネット全盛のご時世に時代遅れも甚だしい。国境沿いの町では店の競争力が落ちるのではないだろうか。

 ミュンヘン中央駅8時25分発ICE620便ベルリン行きは既にホームに入線している。最新型のIII型で流線型のデザインがシンプルで美しい。今日は3本の列車を乗りついてベルギーに行く。私はベルギーに行ったことがない。フランス語文化圏というのはどういう世界なのだろうかと期待する。

 列車は定刻に発車し、いきなり200キロ以上ですっ飛ばす。アウグスブルグやウルム、マンハイムなど、サッカーを見に来たのでなければ泊まってゆっくり見たい町を通過する。毎年毎日サッカー観戦ばっかりの極道日程だけど、私だってゆっくりと町を見たい気持ちはある。これからの社会情勢が全く読めない現在、ヨーロッパに来る度に、もうここに来ることはないだろうなあ、と思ってしまう。悲観的なのか情緒的なのか自分でも良くわからないけれども。

 マンハイム、ケルンと列車を乗り換えてICE950便でリエージュに行く。ヨーロッパの国の位置関係に詳しい人はあまり多くないと思うので少し説明すると、ミュンヘンはドイツ南部、ケルンはドイツ中部の西の端でベルギーの国境に近い。ベルギーとの国境沿いにアーヘンという温泉街があって、そこを過ぎるとベルギーに入る。アーヘンを過ぎるといきなり車掌が変わり、言葉がフランス語になった。初めて聞く言葉なので何を言っているのか全くわからない。

 車窓に変化はなかったが乗客の客層が変わった。ドイツ人旅行者はアーヘンでおり、変わっておばちゃんの大群が乗り込んできた。うるさい。おばちゃんが煩いのは全世界共通なのだろうか。

1時間程度でリエージュ・ギーメンス駅に到着。長距離列車のターミナル駅だが市街地からは外れているので駅前は寂しい。降りしきる雨が寂しさを加速させる。まだ午後2時すぎだが、早めに宿を決めなければならない。今日の試合開始時刻は18時である。

駅前のホテルを適当に選んでチェックインし、昼食を取りに市街地まで歩く。ヨーロッパの町は歴史があるせいか町が燻っている。市庁前にカフェがあったのでそこに入った。

腹が減っているのでチャントしたものを食べたいが、メニューがすべてフランス語だけなので一体なにが書いてあるのかよくわからない。幸い店員は全員英語が通じるのでいろいろと教えてもらう。「galette」というのはようはクレープであるが、日本の女子高生が食べるような甘いものではなく、ちゃんと生地に鶏肉やハムを混ぜるちゃんとした料理。その他、牛や魚料理も一通りある。腹が減っているので観戦終了まで持ちそうなものをドカドカっと注文する。

運ばれてきたステーキを食べて驚いた。滅茶苦茶にうまい。さすがフランス語文化圏で料理の質がドイツ・オランダ・イギリスの比ではない。恥ずかしい話であるが、私はバターと生クリームを使った料理というのをヨーロッパに来て初めて味わったような気がする。店員も愛想が大変よろしい。さすがフランス語文化圏で店員の呼び方も「ギャルソン」である。そんな小洒落た呼び方をしたことなど私は日本でもヨーロッパでも経験していない。

料理には満足しているが、先ほどから私には漠然とした疑問が生まれていた。最初は気にしていなかったのだが、時間が経つにつれ疑問が不安へと変化してきた。それはなにか・・・・・・サポーターの姿が見えないのである。

今日は18時からスタンダール・リエージュ対ルビエールの試合があって、それはあと2時間後にキックオフを迎える。スタジアムへの行き方は先ほど「ギャルソン」に聞いていて、目の前の3番バス乗り場から乗ればいいことはわかっている。このカフェは市庁前にあり、もろに繁華街にあるからもっとサポがいていいのである。ベルギーのサポはスタジアムに着くまではサポであることを悟らせないようにしているのかな、そんな風に考えた。

そんな隠れキリシタンみたいなことをしなければならないほど、ベルギーサッカーというのはマイナーな存在なのか・・私は少し憂鬱になった。

 3番系統のバスはすぐに来た。客はポツポツで若者がいない。不安になって運転手にちゃんとスタジアムに行くか聞いてみる。ちゃんと行くとのこと。私はスタジアム近くになったら降ろしてもらうよう運転手に頼んでバスに乗り込んだ。

 バスの座席は向かい合わせの席で、私の目の前はお婆ちゃんであった。さすがフランス語文化圏で非常におしゃれである。黒のコートにオレンジ色のマフラーと品のよさがにじみ出ている。眼鏡から帽子にいたるまで日本はおろかドイツやオランダとも比べて格好が良い。生活階級が違うのからなのかもしれないが、私は見とれてしまった。お婆ちゃんに見とれることなどあってはいけないことなのだが、そういう状況ではあった。

 お婆ちゃんがそうなのだから、若い娘は当然のことながらトンでもなくお洒落である。首に巻いているのはマフラーではなく、薄いスカーフである。このクソ寒いのに気合が入っている。私はお洒落というのは根性と気合の世界だと充分にわかった。顔が小さくて首が長いからスカーフが美しく映える。この辺の娘を適当にさらって日本に連れてきたら即ananだのcancanだのにモデルで出られるだろう。そのくらいのレベルであった。私はお婆ちゃんにもスタジアム近くになったら教えてくれと頼んだ。バスはマース川沿いを淡々と走る。相変わらずサポーターは乗ってこない。なんなんだろうなあ・・・そう感じていた。

 バスの車内放送が「スタンダール」と告げる。運転手がここだよと私に教えてくれる。お婆ちゃんが「着いたよ、着いたよ」と私の身体全体をゆすってくれる。私はお礼を言ってバスを出た。目の前に大きなスタジアムが見える。ベルギー1部リーグ、スタンダール・リエージュのホームスタジアム、スタッド・スクルッソンである。

 時計は5時。試合開始まであと1時間である。しかしスタジアムの照明に灯は入っていなかった。チケット売り場は無人であった。道路から覗き見れるスタンドに観客はいなかった。私はフェンスに身を乗り出してスタンドとスタンドの間のピッチを見た。ゴールにネットはかかっていなかった。私は、少なくとも今日はここで試合がないことを理解した。

 何も考えることができず、呆然とスタジアムを眺める。閉鎖されているチケット売り場の前が少し広場になっていて、そこにボロボロのルノーが入ってきた。車から出てきた若いドライバーはリエージュのトレーニングジャージを着ている。選手だろうか。私は車の前に行きその選手に試合はやるのかと聞いてみた。彼はあっさりと言った。「Cancelled」。

彼いわく、ピッチコンディション不良とのこと。はあ・・・・。急に疲れが出てきた。

バスが通ってきた来た道をトボトボ引き返す。空には雪がちらついてきた。目の前を帰りのバスが通過していく。雪は雨に変わり日も暮れてきた。寒いのはわかっていたが傘を差す気力もなかった。雨は強くなり石畳をぬらす。目の前にバス停が見える。何も考えずに突っ立っているとしばらくしてバスが来た。行きに来た道をそのまま戻り、駅前に到着。そのままホテルに入った。

 気持ちを落ち着けた後、インターネットカフェに入り、KickerOnlineで詳細を見る。やはり延期であった。この日、ヨーロッパでは強い寒波に見舞われ2部以下の大半の試合が中止。中でも4部オーバーリーガは19試合が中止された。ブンデスリーガ1部、ハノーファー対ニュルンベルグ、ヴォルフスブルグ対メンヘングラードバッハは予定通り開催された。ブンデスリーガ1部のチームはピッチの下に電熱線を引いている。こういう耐寒装備をきちんとしたクラブだからこそ試合をすることができたのだろう。この時期、試合が中止になるのは充分に予想ができたことで、あらかじめそういうリスクを見越してスケジュールを組むべきだった。運が悪いのではなく、自分の旅程の未熟さをうらむべきだろう。

 雨はまだ降っている。私は先ほどのカフェに行き、コーヒーを飲んでホテルに戻った。明日はオランダに戻り、マーストリヒトに行く予定である。

(翌日に続く→) 

 
 
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