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初日(6月21日) まずは軽く鉄道から
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その2:ウッパータールのモノレール
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ウッパータールには午後4時過ぎについた。本当はもっと早く着くはずだったのだが仕方がない。午後4時と言ってもまだ日中もいいところで日が落ちる気配は全くない。今日は6月21日。夏至である。ウッパータール中央駅は各国のユニフォームを着たサポーターであふれかえり、露天も多数出ている。日常のドイツからお祭りのドイツへ引き戻されたような気がする。これからウッパータールのモノレールに乗る。モノレールの駅は中央駅から少し離れたところにある。長い地下道を歩いていくと、目の前にモノレールの線路がデン!とそびえ立っていた。 |
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何故、このモノレールに乗りに行くのか?ぱっと見る限りではごく普通の、それこそ湘南モノレールや千葉都市モノレールと同じように見えるかもしれない。しかし鉄道ファンにとってはどうしても外せない。単線軌道としては世界でもっとも古い路線で、開業は1901年。現在でもレールの基本構造は当時のままである。ちなみに世界で2番目に開業したのが東京上野動物園構内を走っているモノレールである。 |
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ウッパータールにモノレールがあるのは以前から知っていたし、この駅を通過するたびに線路を眺めていたけれど、こうやって改めて間近に見るとその偉容に感嘆してしまう。レールの真下がウッパー川で、その川を挟み込むようにしてゴツイ橋脚が両側に立っている。その橋脚の中間地点に複線化された単線軌道(ややこしい)がつり下がる。日本の懸垂式モノレールは軌道の中に車輪が挟まっているけれど、こちらは軌道上部に大きな車輪が鎮座している。車両は新しいけれど基本構造は100年前そのままなのだ。先ほどのミュングステナー橋もそうだけど、1世紀前のドイツの鉄道技術の先進さを思い知らされる。昔も今も鉄道と飛行機を見ればはその国の最新技術力が計れると思う。技術力だけではない。100年後も現役で使っているということが凄い。 |
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とはいいつつ、現在は市民にとっては普通の路線でしかない。列車に乗り込むとワールドカップの喧噪が消え、再びドイツの日常が戻ってきた。 |
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すべての鉄道好きが例外なくそうであるように、私は先頭車両最前列に陣取る。日本人は珍しいのか、最前列に座っていたおばさんが自分の大きな体を端に寄せ、私のスペースを作ってくれた。いよいよ出発である。 |
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列車はウッパー川に忠実に沿って走る。懸垂式なので下が丸見えである。ウッパータールの「タール」とは渓谷の意味である。その名の通り、眼下は岩肌が多い。都市部を流れる川にしては水は澄み、本当の渓谷のようだ。駅間距離は600メートルくらいだろうか。かなり短い。列車はひとつひとつ丁寧に停車し、そのたびに多くの人が乗り降りする。列車の八社間隔は4分ごと。相当の過密路線である。 |
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この鉄道はレールも車輪も鉄なので走行音に金属音が鳴り響く。ちょっとしたカーブでキン、キンと音がする。路面電車のそれと同じであるが、音が上方から鳴るのでなかなかおもしろい。 |
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スタディオン・アム・ツォー駅に着いたところで私はモノレールを降りた。本当はもっと乗っていきたかったが、この後ウッパータールSVのホームスタジアム見学をする予定で、既にクラブにはアポイントを取っている。遅れるわけにはいかなかった。幸いスタジアムは目の前で、いそいそと歩いていくと目の前に古ぼけたピッチがあった。スタジアムの写真を撮った後帰りのモノレールで引き返す。ウッパータール駅に近づくとワールドカップ目当ての外国人が大勢乗り込んできた。空気が日常から祭りに戻ってくる。ウッパータール中央駅に戻るとそのままホテルに戻る。明日は日本対ブラジルである。絶対に勝たねばならない。 |
(続く) |
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