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準々決勝第一節 セパハン 対 川崎フロンターレ


(イスファハン:フーラッド・シャースタジアム)

はじめに:イランという国

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第1節 アレマ・マラン-川崎フロンターレ

第2節 川崎フロンターレ-バンコク・ユニバーシティ

第3節 全南ドラゴンズ-川崎フロンターレ

第4節 川崎フロンターレ-全南ドラゴンズ

第5節 川崎フロンターレ-アレマ・マラン

第6節 バンコク・ユニバーシティ-川崎フロンターレ

準々決勝 セパハン-川崎フロンターレ
はじめに:イランという国
初日:出発まで
2日目:イスファハンへ
3日目:試合開始前までのこと(前編)
3日目:試合開始前までのこと(後編)
3日目:セパハン-川崎フロンターレ
4日目:イラン・プレミアリーグ
5日目:ペルセポリス
6日目、最後の夜
7日目:さようならイラン

準々決勝 川崎フロンターレ-セパハン

ACL総括

 まさかサッカーを見にイランに行くことになるとは思わなかった。漠然として東欧とかアフリカとか南米とか、そういうところの試合を見たいなあとは思っていたけれど、中東は全くノーマークだった。しかし未知だからこそフロンターレがノックアウトステージを中東でやる可能性が高い、と知ったときは逆に気持ちが燃えはじめてきた。どうせやるなら近隣の韓国などよりも行くのが難しいところがよい。それも観光地化されたドバイよりもシリアやイランがいい。そして抽選会。イランのチームと対戦が決まったときはもうすでに行くことを決めていた。速攻で「地球の歩き方」も買った。毎日通勤電車の中で穴が空くほど読みふけった。おかげで出発前にはもうボロボロ。


 行くに当たって問題は3点ある。ひとつはテヘランまでの航空券が非常に限られていること。日本発ドバイ行きは結構あるが、テヘラン行きは少ない。もうひとつはイランという国が日本の一般市民にとって印象が良くなく、渡航に同意を得にくいということ。最後は休暇の問題で、さすがに一年間に4度目の海外旅行の申請は難しかった。こういうことをひとつひとつクリアしなければならない。


 悪い印象というのはいくつかあって、まず国名がイラクと間違えられやすく、自爆テロがどうしたとか、拉致されるのではないかとかそういうことを心配されてしまう。名前を間違えるのは酷すぎるとしても、確かにイランはイラクとアフガニスタンに挟まれているので、「あのあたり一帯は危ないのではないか」という心配は理解はできる。


もう一つはアメリカがイランと国交を断絶しており、イランをシリアや北朝鮮などと一緒に「悪の枢軸」とレッテルを貼っていること。アメリカが悪いと言っている国は危ないのではないかという心配もまあ、わからなくはない。私は家族や職場の人たちに「大丈夫だよ、イラクとは違うんだよ。安全で親日的な国だよ」と説明してまわったがこれは最後まで手こずった。休暇の件はもう、こういう機会は2度とないからということで無理矢理納得してもらった。あとは航空券の手配である。


 その前にイランという国について少し説明しようと思う。イランはイラクと名前が似ているので同じイメージで語られやすいが、中身は全く違う。イラクやサウジアラビア、アラブ首長国連邦などは「アラブ」という地方であるがイランは「ペルシア」地方である。同じイスラム圏であるけれど、アラブ諸国が君主制をしいた専制政治に近いのに対し、イランは議会制民主主義を取っている。実際はアラブ諸国が君主制とは言っても独裁とは違うし、イランが議会制民主主義とは言っても市民の権利は西側諸国よりもずっと狭められている。


 またイランの議会はかなり強硬派が多いし大統領はアメリカに喧嘩を売っている。そういう面で今ひとつ渡航の説得は難しかった。ただ一つ言えるのは、それはあくまでも内政、外交面での話であって、旅行者がその国を旅行する自体は特に不安がることはない。国際情勢が最悪になって避難勧告が出されれば話は別であるが、2007年9月現在、イランに対して旅行者が懸案となることはない。細かく見れば過去にテロや誘拐はあり、そういう地域に対して注意する必要があるが、行かなければ問題はないだろう。

 
 どちらかというと、旅行面で中東特有の事情をどう乗り切るか、というほうを考える必要があった。まず文字。蛇がはいつくばったようなペルシア文字をどう理解するか。文字はともかく数字もペルシア数字である。1,2,3・・というアラビア数字ではない。バスや鉄道の時刻表を読み解くのは暗号解読に近く、英語が全く通じない環境で果たしてチケットが買えるのか?という不安はあった。

ペルシア文字で書かれた地下鉄路線図


 まあ不安になっても仕方がない。休暇の取得については少しでは済まない調整があったけれど、なんとか理解を得た。上半期末という、一年で二番目に忙しい時期に休みを取らせてくれた職場に感謝しつつ、旅の準備を始める。試合は9月19日水曜日、ちょうど17日(月)と24日(月)が祝日のため、取り方によっては10連休も可能ということになる。実際はそんなにうまくいかないだろうが、私は期待を込めて航空券を探し始めた。

(続く)

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