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準々決勝第一節 セパハン 対 川崎フロンターレ


(イスファハン:フーラッド・シャースタジアム)

6日目:最後の夜

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第1節 アレマ・マラン-川崎フロンターレ

第2節 川崎フロンターレ-バンコク・ユニバーシティ

第3節 全南ドラゴンズ-川崎フロンターレ

第4節 川崎フロンターレ-全南ドラゴンズ

第5節 川崎フロンターレ-アレマ・マラン

第6節 バンコク・ユニバーシティ-川崎フロンターレ

準々決勝 セパハン-川崎フロンターレ
はじめに:イランという国
初日:出発まで
2日目:イスファハンへ
3日目:試合開始前までのこと(前編)
3日目:試合開始前までのこと(後編)
3日目:セパハン-川崎フロンターレ
4日目:イラン・プレミアリーグ
5日目:ペルセポリス
6日目、最後の夜
7日目:さようならイラン

準々決勝 川崎フロンターレ-セパハン

ACL総括

 (前回からの続き)

  9月22日。今日は今日はテヘランに戻る。11時発の便だが早めにホテルを出る。シーラーズ空港までタクシーで行き、空港内で出発待ちをする。まだ午前9時。2時間もある。



 シーラーズ空港はどちらかというと軍用空港で、軍用機が沢山とまっている。イランは1970年代まではアメリカべったり、それ以降は東側にべったりという国なので、軍用機も東側・西側ごちゃ混ぜに混在している。ロッキードP-3C哨戒機がきたと思えばアントノフ74が離陸する。この飛行機、STOLを売りにしているのであっという間に飛び上がる。凄いな。軍事オタクには退屈しないところである。興味のない人には迷惑かもしれないが、以下にどういう飛行機か写真を載せる。

↑  イリューシン IL-76 輸送機
↑  アントノフ An74 STOL輸送機
↑  おなじみロッキードP-3C哨戒機



 シーラーズ空港にはボーディングブリッジというものがない。発車間際に乗客集合のアナウンスがあり、シャトルバスに乗せられる。私が乗るシーラーズ発テヘラン行きのイラン航空機はツポレフTu154とい40年近くも前の飛行機で、さすがにこれはどうかなと思った。リクライニングできない座席や東欧のキリル文字が異文化を感じさせる。もっとも客室乗務員は大変愛想がよいので気分がよい。イスラムの女性はベールを被っているのでみんな美人に見える。女性は隠すから美しい、というのは本当だと思う。全員席に着くと機体はすぐは動いた。



 シーラーズからテヘランまではバスで16時間だが飛行機では1時間。あっけなく、テヘランメフラーバード空港に到着。5日ぶりのテヘランである。人混みや騒音が懐かしく思う。タクシーで市街中心部に移動し、ホテル探しをする。3件ほど断られたが、4件目で見つかった。シングルで25USドル。部屋はエアコン付きで清潔、全く申し分ない。一眠りすと夕方になった。私は外に出た。今日はイラン最後の夜なので、豪華に行こうと思う。イラン名物に「キャビア寿司」というものがある。寿司のどこがイラン名物なのかわからないが、イランはカスピ海に面しているのでキャビアが取れる。どんなものか食べてみる。


 キャビア寿司を食べさせてくれる日本料理屋はテヘラン北部の高級住宅地にある。地下鉄に乗って終点で降り、さらに歩く。途中で道に迷ったので、公園でいちゃついているカップルを呼び止め、場所を聞く。どうやら反対の方に歩いてしまったようである。男性の方が、くるまで送っていってあげるよと言うのでありがたく同乗する。こういうイラン人の親切さは本当にありがたい。



 私が日本人であることは一目でわかったようで、自己紹介をしてくれる。合気道をやっている。日本人は礼儀正しく親切だ。イランは々ですか?いろいろと聞いてくる。私もできる限り答えるがお互いつたない英語なので限界はある。それでも楽しかった。明日帰国すると言うと、それならば明日、空港に送っていってあげると言う。そこまで親切な国民を私は知らない。ありがたくお礼を言い、丁重に断る。この親切さは私にとってはカルチャーショックに近い。



 目的の店は「外国の日本料理店」と言った外観で恥ずかしかった。中にはいると和室に通される。目的のキャビア寿司はちゃんとあり、1カンで9万リヤル(1200円)もする。不当と言ってもいいくらい高いが仕方がないついでに鉄火丼も注文する。イラン最後の夜としては少し寂しい。



 お客さんがポチポチは行ってくる。みんな日本語をしゃべっている。メニューは天ぷら親子丼、カツ丼からざるそばまで何でもある。食材の限られたイランでこのメニューは頑張っていると思う。私が感想を言うべきものではない。


 キャビア寿司は、まあそんなものか、というものだった。味の濃いイクラに近く、これはうまい、と言うものではなかった。話の種にメニューがあり、話の種にお客さんが食べると言う種類のものだと思う。もっとも私は生まれてこの方キャビアなんて食べたことがないのでこういう感想しか選べない。






 隣に座っている日本人と少し話をする。日本大使館の職員だった。アメリカの経済制裁は結構聞いており、日本の会社との取引にも影響は出ているとのこと。イラン南西部の治安がかなり悪化しており、バム周辺には絶対に行くなとのこと。それ以外はかなり治安がいいので海外旅行をするには安全だなのだそうだ。それは私もそう思った。
 

 キャビア寿司を食べ、鉄火丼を食べ、蕎麦を食べた。料金は28万リヤル(3200円)。高いのか安いのかわからない。タクシーと地下鉄で市街地に戻る。大通りには出店が出ていて食べ物も売っている。アイスクリームやフルーツジュースを飲んでいると目の前にミサイル運搬車両が通り過ぎる。車両にはスカットミサイルが積まれている。明日はイランイラク戦争終結記念日。戦勝国イランでは大規模な軍事パレードが行われる。そのことを私に教えてくれたイラン人がそっと耳打ちする。「イランは戦争が大好きだから」





 この日は「聖なる防空週間」の初日なんだそうだ。イランでは同国独自開発の戦闘機、「サーエゲ」の初飛行の様子がテレビでさんざん映されていた。日本では戦争など他人事に過ぎないが、やはり戦争を現実的にとらえている国は違う。さっき、私を案内してくれた若者は戦争が始まれば徴兵されるのだろうか。いろいろなことを考えてしまう。明日はイラン滞在最終日。日本に帰る日である。

(続く)


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