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2008.04

初日 ソウルのスタジアム

観戦記

初日:ソウルのスタジアム
2日目:全北現代-大邱FC
3日目:浦項スティーラーズ-大田FC
最終日:ソウルのスタジアム
 以前からKリーグの試合を観たいと思っていた。ピースカップやACLでKのチームの試合は観たことがあるけれど、リーグ内での試合はまだ観ていなかった。Kリーグについては、いい話も悪い話もあって、それぞれ興味があったのだけれど、まだ見ていないので本当のところはどうなのかわからなかった。その意味でも見に行きたかった。ここ数年、ワールドカップを見に行ったりACLを見に行ったりでなかなかチャンスがなかったので、この辺で一発ケリを付けておきたいという気持ちもあった。

 それとは別にソウル在住の日本人の方から、ソウルのスタジアムを紹介してほしいとメールがあり、リストが添付されてきた。そこで私は年度末の仕事が一段落する4月上旬に的を絞り予定を立てた。Kリーグの2008年度の日程はなかなか発表されないことに気を揉んだが、2月の中旬、発表された。観戦するのは4月12日に全州で行われる全北現代対大邱FC、13日に浦項で行われる浦項対大田FCの2試合である。本当は下部リーグであるNリーグやK3リーグも見たいところだが、これは次回にする。全北も浦項もサッカー専用競技場で、それぞれに趣がある。楽しみになってきた。私は試合両日の前後に休暇を入れ4連休とし、JALの予約を入れた。JALはこのときマイルディスカウントをしていて、通常より3000マイル少ない1万2000マイルで搭乗できる。なかなか運がよい。


 4月11日、午前5時に起きて羽田空港に向かう。羽田からソウル金浦空港までチャーター便が開設されてからかなり便利になった。私の家から成田空港までは2時間30分かかる。羽田空港だと1時間かからないので1時間30分は節約できる。ソウルも同じで通常の仁川空港は市内に入るのに2時間近くかかるが、金浦だと1時間かからない。トータルで見れば羽田-成田、仁川-金浦の移動時間の差だけで搭乗時間を節約できていることになる。しかも特典航空券の使用なので旅費はかなり浮いた。羽田空港国際線ターミナルは簡素な作りで裏口から出国するような気分だったが、それはまあよい。搭乗手続きを済ますと乗るべきJAL8831便が駐機場に横たわっている。使い古された747ジャンボ機で、塗装が汚い。機番はJA8184。これは元々リゾッチャ仕様でハワイ路線などに使用していた機体だ。来年には引退する機体で、かってバリバリの花形が余生をソウルの短距離便ですごしていると思うと少し切ない。

 2階席に乗り込むとすぐに寝た。気がつくと飛行機は離陸を始めるところだった。また寝て、次に起きたときはもう着陸態勢に入っていった。あっさりと着陸し、金浦空港の入国審査を受ける。あまりにもあっさりすぎて、何かこう・・・海外に来たという気がしない。羽田もそうだけれど、ターミナルが簡素すぎて、裏口からそっと入った感じがする。通常空港から市内へは高速バスを使うが、金浦空港は地下鉄があるので、こちらを使う。切符を買って改札を通り、電車に乗る。買い物客と一緒に座るととても海外にいる気がしない。自分自身、緊張感の無さに少しとまどう。


 これから私が向かうのは、蚕室総合運動場。あのフランスワールドカップ予選で日本が勝った、あのスタジアムである。国家代表の試合はソウルワールドカップスタジアムに移ったけれど,今でもアマチュアサッカーの聖地でもある。最寄り駅は地下鉄2号線の総合運動場駅。空港から約1時間の距離である。


 競技場は駅のすぐそばにあった。、駅を降りてすぐ目の前に野球場があり、その奥にオリンピック競技場があった。付近は誰もいない。競技場まで行くと、門がすべて閉まっている。韓国の陸上競技場は概して開放されており、ひょっとしたらという思いもあったのだが、甘かった。隙間から中を眺めるだけにとどめる。

 気を取り直して次の目的地、城南に行く。駅に戻り、地下鉄2号線を2駅戻り宣陵(ソンルン)駅下車、盆唐線に乗り換えて30分ほど走り、牡丹(モラン)駅下車、商店街を通り抜けて約10分、城南総合運動場に行く。元々は城南一和の公式戦会場で、現在でもサテライトが使っている。今度は一般市民に開放されていた。堂々と中にはいることができる。立派なスタジアムだ。メインスタンドが立派なのがうらやましい。ここまで堂々と主張するスタンドは日本にはない。

 少しスタンドで一服したあと、タクシーを捕まえ、炭川総合運動場を目指す。城南一和のホームスタジアムで、ACLでは浦和レッズ戦も開催している。同じ市に陸上競技場が2つもあるというのは凄いというか、無駄というか、この辺の事情はよくわからない。


 タクシーはしばらく国道を走り、川を渡る。すると視野が開けて広大な緑地公園に出る。日本の同じような場所、例えば多摩川などとくらべてもずっと清潔である。河川敷には歩道と自転車道があり、生活環境はかなり良い部類だと思う。


 その河川敷の一角に炭川運動場がある。ちなみに炭川は「タンチョン」と読む。日本式に読むと「タンセン」で、絶対に「すみかわ」と読んではいけない。漢字を採用している国は日本以外にも幾つかあるが、訓読みは日本だけの文化である。


 炭川運動場はちょうど整備中だった。緑色の濃淡に分けられたピッチが眩しい。警備員に断って中を見せて貰う。ごく普通の運動場だが、座席がすべて個席のあたりがKリーグ優勝候補のチームであることを伺わせる。警備員も身振り手振りで説明してくれる。韓国を代表するチームなんだと誇っているようにも見える。





 日が暮れてきた。今日はこれから水原に行ってそこに泊まる。地下鉄でソウル駅に行って、ソウル時18時40分発の急行ムグンファ号に乗る。水原までは30分ほどである。私がホームに降りると発車ベルがなった。急いで飛び乗る。列車はしずしずと動き出す。漢江を渡る頃には日はすっかりと落ちてあたりは闇になった。ムグンファ号は全車指定席だが、ゆっくりと見ているヒマもなく、水原着。水原駅は駅ビルを併設していて非常ににぎわっている。川崎駅を思わせる典型的な首都近郊の駅だった。本当ならば水原ワールドカップスタジアムに行きたいところだが、もう日が暮れているのであきらめる。まずは宿を探さなければならぬ。お腹も空いてきた。


 水原に泊まるのは、スタジアムを見たいというよりもカルビを食べたかったからというのが本音である。水原のカルビは王カルビといってかなり大きく、韓国名物となっている。韓国の名物などソウルに行けば殆ど食べられるけれど、やはり現地で食べたい。私は「地球の歩き方」でお店を探してタクシーに乗った。水原市は町の中心部が駅から離れたところにある。タクシーで20分ほど乗り、件の店に着いた。


店の名前は「カボジョンカルビ」という。こういうガイドブックに載っている店は大体にして高く、現地の人に言わせれば、もっと安くてうまいところを知っているよ、と言われるのがパターンなのだが、もう夜の8時を過ぎているのでここにする。店にはいると番頭が「こんにちは」と言う。言葉を発しなくても日本人とわかってしまうあたり、複雑な気持ちになる。座敷に案内されると女中一同が「いらっしゃいませー」と愛想良く叫ぶ。ますます何だかなーという気持ちになる。日本からのツアー客御用達なのかもしれない。


 とにかくお腹が空いた。「カルビ」「カルビ」と餓鬼のように呪文を唱え、真っ先に注文する。オーストラリア産の牛肉が2万55千ウォン(2700円)、韓国産が3万ウォン。(3万1千円)。値段だけ見るとかなり微妙だが、高い韓国産を頼む。日本だったら迷わずオーストラリア産fだっただろう。


 キムチその他の付け合わせが続々と運ばれてくる。一緒にビールとパブ(ご飯)も頼む。私の前のテーブルは満漢全席のように皿で埋まった。そしてカルビが運ばれてくる。確かにデカイ。それを私の前でザクザク切ってくれる。火にかけ、金網で焼く。肉の脂がボトボト落ちて香ばしい匂いが漂ってきた。





 カルビはうまかった。私は日本の高級焼肉店よりもソウルの大衆食堂の焼肉の方がうまいと思っているけれど、それと比較してもうまかった。カルビを食べ、キムチを食べ、ご飯を食べ、ビールを飲んだ。サンチェやキムチは続々とお代わりが運ばれてくる本来、焼肉というのは家族や相方同士で会話をしながら食べるものであるが、私は一人なので黙々と食べる。ここまで食べると体重の増加が心配である。来週は草津で自転車レースがある。レース一週間前にカルビを食べるのは自殺行為であるが、もう気にしてはいなかった。


 一時間ほど食べただろうか。私はテーブルの上の食材をすべて完食した。韓国では出された料理を全部食べるのは意地汚いこととされているので、これは本来行儀の良いことではない。しかし、私は死んだ爺さんから「ご飯は一粒残さず食べなさい」ときつく教えられているので残すことはできない。頑張ってみんな食べた。時計は10時を回っていた。


 会計を済ませて外に出る。星が綺麗だ。店のすぐ近くにラブホ街があった。私はそのうちの一軒に入った。幸い部屋は空いていてチェックインできた。明日は光州に移動する予定である。


 2日目に続く→
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