わかの観戦日記トップページに戻る
2008.04

3日目:浦項スティーラーズ-大田FC

観戦記

初日:ソウルのスタジアム
2日目:全北現代-大邱FC
3日目:浦項スティーラーズ-大田FC
最終日:ソウルのスタジアム

朝6時起床。地下鉄で大邱駅に行き、大邱市民運動場と大邱ワールドカップスタジアムを見学。早朝なのに両方とも空いているのは凄い。スタジアムの開放度は日本は韓国に遠く及ばないと思う。

 今日は浦項に移動し、Kリーグ第6節二日目、浦項対大田FCを観戦する。昨日の全北は試合内容がスタジアムの立派さに大きく負けていたので、今回に期待する。浦項はワールドカップスタジアムではないが、見やすいサッカー専用スタジアムとして、かなり高い評価を受けているので楽しみだ。


 大邱から浦項行きのバスに乗る。大邱から浦項までは約100キロ、高速道路で1時間30分の距離である。料金は7000ウォン(700円)。高速道路を100キロ走って運賃は700円というのはかなり安い。もっとも韓国のレギュラーガソリンは日本よりもずっと高く、一リッター200円位するので実際の物価水準は同じだと思う。


 バスは半島を西に走り13時ちょうど、浦項に着いた。浦項は世界屈指の鉄鋼メーカー、ポスコの本社がある町である。いわゆる企業城下町で、町全体がポスコ社で成り立っていると言っても過言ではない。「浦項スティーラーズ」というチームの名前がいかにも企業チームらしい。Jリーグのチームはは地域名+愛称を基本としているが、赤菱=スリーダイヤ=三菱自動車という名前にはこの浦項スティーラーズと同じ香りがする。私個人としては企業イメージをトレースしたチーム名でも何も問題ないと思っているけどね。


 バス停からスタジアムまではタクシーで行く。バスもあるはずだが、帰りはともかく行きは乗り間違えのリスクがある。なによりも費用とリスクの逓減で見ればタクシーが一番強い。海外、特に非英語圏で近距離の移動はタクシー以外の選択肢はないと思う。4キロほど走ってタクシー代は5000ウォン(500円)だった。


 タクシーは市街地を抜け、ポスコの敷地内に着いた。敷地の奥まったところにクラブハウスがあり、そのさらに奥に競技場があった。旧名浦項専用足球場、現在は浦項スティールヤードと呼ぶスタジアムはコンパクトな外観でいかにも私有スタジアムという感じがする。私はチケットボックスでメインスタンドのチケットを買った。価格は1万ウォン(1000円)。ゴール裏は7000ウォンなので、日本ならばJFLクラスの値段である。

「浦項のスタジアムは見やすいよ」いろいろな人が、いろいろなサイトで、そう言っている。建設して何十年もたっている古いスタジアムがそんなに良いモノか、ワールドカップのスタジアムと比べてどうなのか、興味があった。入口は一階のゴール裏をくりぬいている。日本のスタジアムや韓国のワールドカップスタジアムは一端スタンドの2階に上がって入場するようになっているので違和感がある。


 チケットをもぎって貰って入場すると、いきなり目の前にゴールネットが現れた。あまりの近さに少したじろく。ネットにさわれてしまうくらい近い。改装前の大宮サッカー場や日立柏サッカー場も結構近いが、浦項の方が2階建てで収容人数が多いこともあり、圧迫感を感じる。正直、怖い。とにかく観客席とピッチの間が近すぎる。



 次に2階席に上がってみる。座席の角度があまりにも急なことに驚く。角度で言えば40度くらいだと思うが、感覚的には45度、ちょうど真下の半分くらいに感じる。コーナーサイドに座ってみると、ちょうど眼下がコーナーサークルである。ここまで眼下にコーナーサークルを除いたのは記憶にない。鳥栖スタジアムが角度的には近いが、あそこはラグビーの使用も考慮しているのでここまでピッチは近くはない。スペインやアルゼンチンのスタジアムはこの暗いかもしれない。スペインもアルゼンチンも行ったことはないけれど。




 2階席コーナーサイドに着席して試合開始を待つ。スタジアムDJが淡々と、そしてメリハリの付いたアナウンスをする。しばらくして、アイーダの威風堂々が流れてくる。ああ、これはドイツやイングランドのスタジアムの光景だ。アイーダはサッカーの定番テーマソングだけれど、トランペットの独奏から始めるのはヨーロッパの特徴だ。あの曲は、哀愁を感じさせる導入があって、6重の合奏が盛り上がる。それがわかる浦項は相当サッカーがわかっていると思われる。しかし・・ここまでわかっていながら何故に観客が少ないのだ、とも思う。試合開始直前で数千人程度。三ツ沢の横浜FCと同じくらいか。
昨日の全北と同じくらいか。そして20人程度のホームサポーター。これは辛い。JリーグとKリーグを比較して見れば、スタジアムはKリーグの圧勝。集客はJリーグの圧勝と言ったところか。お互いに痛い場所が大きく、どちらがよいかわからない。


 試合が始まった。試合の展開が早い。全員走っている。昨日の全北戦よりは明らかにレベルが高い。浦項の10番、デニウソンのキープ力が高く、これがよく走る周りのプレーヤとの連携が相まってどんどん大田ゴールを脅かす。ポゼンションは浦項が80%と言ったところか。一方的だった。私は、これは虐殺が始まるかな、と思っていたのだが、そうはならなかった。


前半は概ね浦項が圧倒していたけれど、後半に入ると足が止まってしまった。おそらく浦項の作戦は、格下の大田相手に前半で点を取り、後半に逃げ切るつもりだったのだろう。しかし大田が守りきったことで好守が逆転してしまった。攻める大田、守る浦項。各上の浦項が攻めたれられるのは見ていてそれなりに面白い。ジャイアント・キリングの様相を呈している。





 これで大田に点が入ればまさに漫画だったがっじっさいに派躁はならずスコアレスドローで終了。会場には微妙に白けた雰囲気が漂っていたが、私的には概ね満足だった。


 試合が終わるとみんな一斉に外に出る。私も外に出る。製鉄工場の中なので道路は寂しい。大通りにはバスが止まっているが、長者の列なのであきらめる。市街地の方に向かって歩いていくと、タクシーが通りかかったので止めて私はバスターミナルに向かった。浦項で一泊したかったところだが、明日は早朝にソウルに戻りたかったので今日の出発地、大邱に戻る。時間は18時。日はまだ明るく、すぐにバスが来たこともあって20時過ぎには大邱に戻った。ホテルはバスターミナルではなく、鉄道の駅沿いの宿に泊まる。今日は値段も安く、快適だった。明日は日本に帰る。私は外に出て居酒屋に入り、最後の晩酌をした。
←2日目
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu