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バスターミナルに着くと、例によって客引きが大勢群がってきた。パルミラ遺跡は世界的にも有名観光地のためバスもタクシーもセルビスも大勢いる。今回はバスで移動する。ホムスからバールベックまでは2時間で200SP(440円)。
パルミラは紀元前数百年前から西暦数百年までの間に繁栄した遺跡で、崩れているが当時の様相が概ね理解できる。もちろん世界遺産。シリアに観光に来る人でパルミラに来ない人はいない。中東の遺跡群の中でも重要度は高い。旅行好きの間では「中東の3P」の一つらしい。3Pとは、ペルセポリス(イラン)、パルミラ(シリア)、ペトラ(ヨルダン)の3遺跡を指すのだそうだ。私は去年ペルセポリスに行っているのであとはペトラ遺跡に行けばコンプリになるのだが、別に遺跡オタクではないのでそこまではこだわらない。現地でサッカーの試合を観ている方が楽しい。
バスはシリア砂漠をひた走り、パルミラのバスターミナルに到着した。また例によって客引きが押し寄せる。みんなガイドを買って出る。私はガイドに案内されて見るよりは一人でゆっくりと見たいのでみんな断る。しかし、このバスターミナルから遺跡の入口までは3キロほど離れていて、炎天下の中荷物を背負っていくのはかなり辛い。私は片言の日本語をしゃべるタクシードライバーを指名して彼の車に乗った。こういう土地で日本語をしゃべる現地人というのは、まず怪しいというのが常識だが、いくつか思うこともあるので彼の車に乗った。
パルミラ遺跡は広大で、建物群だけでも数キロ四方に点在している。だからこの地を観光するならばガイドを雇うか何日か滞在するかするのが一般的だなのだが、私はそこまで深い関心はないのでさわりだけ見る。神殿、凱旋門、列柱道路。それぞれの遺跡はローマ時代を彷彿させる。昨日のバールベックもそうだが無理に復元していないのがよい。転がっている石柱を見ると美しい彫刻や文字が掘ってある。それが立ち入り禁止でも接触禁止でもなくて普通に触れる。これは凄いと思う。建築物のすごさというのは、触って初めてわかるものなのかもしれない。
ここは世界遺産なので観光客が多い。大半は西洋人だが日本人もいた。休暇を取った女性二人組で、一緒に回る。3人でいけばタクシーも割安になるので一台チャーターして走り回った。近くに高台があって、その上にイスラム時代の城がある。そこに行ってみる。城から見るパルミラは広大ではあったが、それよりも砂漠の広さが目に付いた。灯台から見る海などもそうおだが、高台から見る砂漠というのは地球が丸く見える。日本にはない景色である。
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