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第2節 浦項スティーラーズ 対 川崎フロンターレ


(韓国:浦項スティールヤード)

初日その2:浦項へ

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第1節 川崎フロンターレ-天津泰達

第2節 浦項スティーラーズ-川崎フロンターレ
初日
お金がおろせない
浦項へ
浦項対川崎フロンターレ
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第4節 
川崎フロンターレ-
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第5節 
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第6節 
川崎フロンターレ-
浦項スティーラーズ

準々決勝第一戦 
川崎フロンターレ-
名古屋グランパス

準々決勝第二戦 
名古屋グランパス-川崎フロンターレ


(前からの続き)


 15:00蔚山空港着。蔚山空港は滑走路が一本しかない小さな空港だった。滑走路が一本しかない空港は世の中にはたくさんあるが、蔚山空港は誘導路すらない、本当に小さな空港で、飛行機は着陸するとその場でくるりと方向転換してターミナルに進んで行った。日本でも調布飛行場などセスナ機用の飛行場はこういうタイプが多いが、B737クラスの飛行機が離発着する飛行場で誘導路がない、というのは結構驚いた。合理的で良い、といえばそれで良いのかもしれないが。


 浦項でなく蔚山に降りたのは、蔚山総合競技場を見ておきたかったからである。全韓体育大会、つまり韓国版の国民体育大会の為に建てられたスタジアムで、日本の陸上競技場とどっちが上か、どう違うのか、それを確認したかった。


 タクシーの運転手に「蔚山総合競技場」と漢字で書いたメモを渡す。初老の運転手は5秒くらい考え込んだが、やがて首を縦に振り、私に乗れとさしずした。蔚山総合競技場は空港から市内に向かう途中にある。そのため移動するには効率がよい。


 15分ほど走っただろうか、目の前に競技場が見え、タクシーはそこで止まった。4900ウォン(約350円)払い、降りる。タクシーに15分のって350円なのだから驚異的に安いと言えるだろうが、手持ちの現金が1万円程度しかない私には薄皮を一枚ずつはがされていくような気持ちになる。


 蔚山総合競技場は予想していたよりも遙かに大きな競技場で、大きくて急なスタンドがそびえ立っていた。私はスタジアムを一周し、入れるところを探した。韓国の陸上競技場は平日は市民に広開放しているところが多い。しかも無料である。インフラもそうだが、こと体育施設に関しては韓国は日本よりもずっと先を進んでいる。


 スタジアムを半周し、メインスタンドに出ると、高校生達がスタンド正面から出てきた。やはり開放しているらしい。私は警備員に軽く挨拶して中に入った。


 蔚山総合競技場のピッチ自体は普通のアンツーカーだが、スタンドは違った。客席の傾斜は急で、そびえ立っている。トラックを半円状に囲むように大きな屋根が架かっていて、「ほとんどの客」は雨でも快適に観戦できるだろう。半円形の反対側のゴール裏にはオーロラビジョンと数段の客席しかない。つまりここで試合をする限り、アウェイゴール裏で応援する観客は屋根のない席で平べったく散らばって応援することになる。逆にホームゴール裏はそびえ立ったスタンドにサポーターが集結する。屋根付きなので声はよく反射するだろう。これなら敵に相当なプレッシャーをかけることができる。非常によくできたスタンドである。陸上競技場でも日本は韓国に負けている。このあたりが非常に悔しい。もっともここをホームスタジアムとするNリーグ現代尾浦造船にそこまでの集客力があるのかは非常に微妙なところであるが。







 少し客席で休憩した後、私は外に出て、再度タクシーを拾い、市内バスターミナルに向かった。市内までは約10分、3500ウォン(250円)である。蔚山は6年前、ピースカップの試合を見に来たことがある。大通りにはいると見覚えのある景色になり、ロッテデパートの前でタクシーは停車した。バスターミナルはこの隣にある。浦項行きのバスがあるのか少し不安に思ったが、予想通り頻発していて20分ごとの出発感覚らしい。所要時間は1時間15分。7500ウォン(約530円)現在16時00分でまだ。試合開始は19時30分でまだ時間があるので、この間に頼まれていたお土産を買い出しにロッテデパートに行く。


 普通、土産物は最終日に買うものと相場が決まっているが、今回買うのは化粧品である。私は化粧品のことは全くわからないし、韓国内にどこまで目当てのモノが売っているのか見当もつかないが、とりあえず挑戦してみる。


 ロッテデパートの化粧品売り場は日本の高島屋や松坂屋と殆ど変わらない感じだった。シャネルやディオールなど外国ブランドものも結構ある。私が頼まれたものも海外系の世界ブランドのもので、
自分は初めて聞くブランドだったが、ちゃんとあった。


 私は何をどう買えばよいのか全くわからないので店員にリストを渡し、ここにあるものをそろえて貰うように依頼した。30代と思われる女性店員は苦笑しながらも奧に引っ込み、棚の中をがさごそと探りながらそろえてくれた。頼まれたモノは概ねそろったと思う。化粧品については、どういうものか皆目わからないけれど、蔚山のような地方都市にもちゃんとそろっているのは凄いと思う。化粧品の世界って世界共通なのかもしれない。


  バスターミナルには浦項行きが既に入線している。私は飛び乗った。バスはすぐに出た。大都市間を結ぶ道路だから幹線だろうと思っていたが、両側1車線ずつの一般道路であまりスピードは出せなかった。海辺を走るわけでもなく、峠を越えるわけでもなく、中小な集落をことことと走る。60キロの距離を1時間15分かけて走るのだからそんなものなのだろう。


 韓国の景色は日本とよく似ている。というか、ハングル文字を除くとそのまんま日本の景色である。家があって畑があって、街があって、田んぼがあって、ガソリンスタンドが定期的に現れる。計画性のない街造り、道路づくりがどうして似るのかわからない。


 浦項まで16キロと標識に出る。到着まであと20分くらいか、と思ったが、現れる標識は5分ごとに1キロずつ減って行くような感じでいつまで経ってもつかなかった。いい加減げんなり下頃、前方に殺風景な製鉄所郡が現れて、浦項市に入った。橋を渡ると市街地となり、浦項バスターミナルに到着した。時間は18時ちょうど。キックオフまであと1時間30分である。


(続く)
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