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第5節 天津泰達 対 川崎フロンターレ


(中国:天津泰達足球場)

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準々決勝第一戦 
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準々決勝第二戦 
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 (前回の続き)

 
 5月5日快晴。いよいよ試合である。会場の天津はここ北京から南東に100キロほど離れた海岸沿いにある。新幹線で30分という距離で、ちょうど東京から熱海に行くようなものと思えばよい。試合開始時刻は夜7時30分で、時間はたっぷりとある。この時間を利用して少し観光しようと思う。もっとも私の観光は普通の旅行客とは少し違うので、観光と呼べるかどうかは怪しいものであるが。


 普通の観光ルートで言うと、天安門、故宮、万里の長城と言ったところだが、私はそういう観光地には興味がない。鉄道博物館と軍事博物館に行こうと思う。一般男子はやっぱり鉄道、戦車、戦闘機にあこがれるものである。一般婦女子には理解不能らしいが、そんなことはどうでもよい。


 軍事博物館は国立博物館で、そのものずばり軍事博物館という地下鉄の駅がある。なので迷いようがない。駅をおりると巨大な八一星を吊した建物があり、人がごったがえしていた。入口で5元(約80円)を払って中にはいるといきなりコマール級ミサイル艇が鎮座していた。いやあ・・いいなあ。人殺しの道具にいいも悪いもないのだが、純粋に乗り物好きとしては夢中になってしまう。





建物の中に入るとミグ15、17、19、21戦闘機(正しくは中国ライセンス生産品)があり、隣にはT-54、T-62、T-72戦車がおいてある。興味のない人には何がなんだかわからないだろうが、戦闘機や戦車が好きな人にとっては東側の兵器を見る機会は殆どないので、こういうものは貴重な経験なのである。


 人民解放軍の歴史や抗日資料館、毛沢東の偉大さなどを一つひとつ見ているうちに時間は過ぎていき、正午近くになってしまった。もう時間がないので鉄道博物館はあきらめて天津に行く。軍事博物館前のレストランで簡単に昼飯を済ませ、タクシーで北京南駅に行く。20分近く乗ってタクシー代は30元(480円)ほど。事前の話では運転手は駅を知らないという噂もあったのだが、ちゃんと間違いなく着いた。


 北京南駅は恐ろしく巨大なターミナル駅で、24番線まである。将来的には中国全土と新幹線が接続する一大ターミナルになるようだが、現在は北京-天津間の列車が往復するだけである。そのためプラットホームは3本しか使われておらず、あとは埃を被っている。なにかこう・・・無駄に広いという印象しかない。


 中に入って切符を買う。出発前に聞いた話では切符が取りにくいといういことだったのだが、実際は結構余っていて、無事天津までの切符が買えた。二等席で58元(約800円)。日本の感覚で言えば安いと言える。列車はドイツのICE3そのもので、となりに日本の新幹線E2系そっくりの車両が置かれている。日独の新幹線がそろい踏みしているのは「ある意味」壮観であるが、中国はこれを自国独自の技術で完成させたと言っているのだから凄いと思う。私の乗った列車はまさにドイツ鉄道のICE3そのもので、3年前のワールドカップにこの列車に乗ったときのことを思い出した。


 13時15分、定刻に発車。発車した途端、急に眠くなった。少しウトウトとした途端、すぐに減速し、天津駅に到着した。あまりにも早すぎる。最高時速350キロは伊達ではない。もう少しゆっくり走ってもいいのにとも思う。


 天津は暑かった。30度くらいあったんじゃないかと思う。駅前広場は無駄に広く、駅舎は無駄に巨大だった。構造で言うと、現代版レーニン様式と言った感じで、今時威圧感バリバリの建物を造る必要があるのかとも思う。北京南駅もそうだけれど、費用対効果を全く考えず、威信や威厳を前面に出すあたりは共産主義国家なんだなと思わせる。





 これからスタジアムに向かうことになるが、まだ昼過ぎで時間はあるので、今のうちに宿を決めておく。最近の中国は「清潔な部屋、清潔なベッド、経済的な料金」を売りにしているホテルが増えてきた。当然天津にもある。ガイドブックを見ると駅前にあるので飛び込みで入ってそのままチェックインした。料金はシングルで208元(約3300円)。部屋は確かに清潔で、ティーパックやミネラルウォーターまで用意してある。ホテルのコンセプトはまんま日本の東横インで、国家は共産主義だけど、民間の経済活動だけはガッツリと資本主義を導入していると思わせてくれる。私としては、安く快適に過ごせるのならばそれに越したことはないのでこういう努力は大歓迎である。


 少し部屋で一服する。時計は午後3時。試合開始時刻は午後7時30分。まだ時間はある。私は外に出た。マッサージ屋を探して揉んでもらおうと思った。私は東アジアや東南アジアに行くと必ずマッサージをしてもらう。どこの国に行っても料金が格安なので、絶対に利用することに決めている。もっとも言葉が通じないので満足するかは出たところ勝負であるが。


 私は天津の町を全く知らない。よってどこに店があるのかもわからない。大抵は繁華街にあるのでそこに行く。天津の繁華街は駅から1キロ程度離れた場所にある。暑いさなか、そこまで歩いた。しかしそこにマッサージ屋はなかった。逆に歩き回った疲れが私の足に襲いかかってきた。何をやっているのかと私自身、虚しさを感じる。


 私は一計を案じた。タクシーを呼び止め、運転手にマッサージ屋を知っているか?知っていたら連れて行ってほしいと頼んだ。もちろん言葉が通じないので身振り手振りである。私の意図を理解したもらうには非常に時間がかかったが、なんとかなった。「アンマー(按摩)、アンマー」と疲れた表情で訴えかけたのが決め手になったかもしれない。運転手は後ろに乗れ、と私に指示を出し、すぐに出発した。出発後、通りを3本越えたところにある店の前で車を止めた。店には「足症」「24小時」と書かれた看板がある。確かにマッサージ屋である。私は運転手にタクシー代8元(約120円)を払い、店に入った。





 店内は綺麗なお姉さんが複数人待機している。そのうちの一人が私を小部屋に案内してくれた。彼女が私の担当らしい。部屋にはいるとウェルカムドリンクを出してくれる。すごい。メニューを見ると全身指圧で90分100元。(1600円)。安い!!日本の5分の1から6分の1程度である。 本当は120分のコースにしたかったが試合開始時刻に間に合わなくなるのであきらめる。


 マッサージは大変気持ちよかった。日本でやるよりもかなり痛い。現在、日本国内の指圧のトレンドはソフト指向なのだが、ここではそういうものはない。悶絶する私の表情を見て彼女はクスクスと笑う。笑いながら強く揉む。私が痛がるのを楽しんでいるようにも見える。私も悪い気はしない。認めたくはないがサドとマゾのようなものかもしれない。


 濃密な90分が過ぎた。これが1600円というのは安さを通り越している。日本におけるOL御用達の店ではまず味わえない気持ちだった。
 

 実に気持ちが良かったので、彼女になにがしかのチップを渡し、店を出た。時刻は午後5時。試合開始時刻が近づいている。私は急いでスタジアムに向かった。

(続く)
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