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2009.9.14

初日:がんばれ金古聖司

観戦記

初日
Sリーグを見に行こう!
頑張れ!金古聖司
2日目
怪しいマッサージ
3日目
ラーキン・スタジアム
Sリーグ優勝
4日目
Sリーグ最終日
5、6日目
さようならシンガポール

前回の続き

 
 試合開始時刻まで間があったので、タンピネス駅構内のフードコートで夕食を取る。シンガポールというのは一言で言うと華僑の国で、中国系の人たちが支配者層から労働者層まで占めていると言っても良いと思う。表面上は多人種、多民族、多宗教国家で、標準言語だけで4つもある国なのだが、
一番存在感を出しているのは中国のように感じた。そのためか、フードコートの基本は中華料理が多い。私自身、中華の方が慣れているので自然とそちらを選ぶ。


 フードコートの料理は1品あたりS$5~8$程度、日本円にして300円~500円とお手軽価格となっている。注文も写真を見て行えるし、メニューも漢字、英語併用なのでわかりやすい。鶏肉とチャーハン、中華風鶏肉煮込みを頼む。ファーストフードとはいえ、作り置きがないのがよい。安くてまあ食べられるのだが、盛りつけというのが全くなされておらず、とりあえず食材を調理して盛ってみただけ、というのが悲しい。こういうアバウトさに日本との違いを感じてしまう。まあいいけど。




 食事はまあ、食べられた。値段に対する味は良いのではないかと思う。長粒種の米はどうもなじめないが仕方がない。いろいろ飲んだり喰ったりしているうちに時間が過ぎたので外に出る。タンピネス、というよりチャンギ空港のあるシンガポール東部は全体的に高級住宅街となっていて、衣食住は全部そろっている。伊勢丹を始め、デパートが複数あり、巨大バスターミナルはひっきりなしにバスが到着する。これほど大きな町でローカルサッカーを見る、という今までに経験はない。


 タンピネススタジアムはMRT東西線タンピネス駅から近く、5分ほどで到着した。スタジアムはスポーツセンターの一施設で、プールを併設している。その他いろいろ建物があり、巨大スポーツコンプレックスと言った感じ。このタンピネスに限らず、シンガポールのスタジアムはみんなそうで、スポーツの位置づけは日本よりもずっと進んでいる。スタジアムは周囲が目張りしてあって完全に有料試合を前提に作っている。そして何よりもメインスタンドにかかる巨大な屋根は日本にはないもので、これだけで日本の県営・市営の陸上競技場を軽く凌駕している。私はJリーグの傍ら、JFLやそれ以下のアマチュアリーグも見るけれど、環境面で見ると完全に負けたなあと感じる。




 スタジアムというハコは確かに良かった。陸上競技場というマイナスポイントを除いても素晴らしいと思う。こういう時は欧州のサッカー専用スタジアムと比べると・・とかと言ってはいけない。それぞれの国にそれぞれの文化があるのでそれを理解しなければいけない。ただ、大きな屋根があるというのはシンガポールが戦前からイギリスの植民地だったからではないかと感じる。日本がシンガポールを占領し、昭南市と名前を変えるずっと以前からここでイギリス人はサッカーをしていた。当然サッカークラブはあっただろうし、リーグ戦もやっていただろう。そういうスポーツ文化で言うと日本よりもずっと先進国である証左の一つが屋根付きのスタジアムなのかもしれない。まあスコールが多いから屋根が必要だっただけとも言えるが。


 スタジアムは立派だが観客は少なかった。試合開始20分前で見た目で300人程度。日本ならばJFLでも見ない数字である。これがシンガポールトップリーグの現実で、私自身悶々としたものはある。

 午後7時40分、選手入場。一列に入場する選手の中で、タンピネスの背番号18番に見覚えがあった。金古聖司。2008年までアントラーズにいた選手である。今年からタンピネス・ローバーズに移籍した。

 金古と言えば、トルシエに見いだされ、ゴールデンエイジ組の中でもひときわ能力の高かった選手である。本来ならば小野や高原、稲本と一緒に黄金世代を担うものと思っていた。それが靱帯を切る大けがを負い、入団初年度からほとんど怪我ばかりで、ずっと気にはしていたのだが、あれから10年、今はシンガポールで戦っている。環境が違いすぎて思うことがいろいろあるのだろうが、頑張ってほしいと思う。私としては日本での金古の試合はほとんど観ていないので、やっと彼の試合を観ることができるという思いが強い。


 試合が始まる。内容は・・・かなり大味、というか率直に言って退屈。お互いペナルティエリア前までは行くのだが、そこで潰されてカウンターの応酬。まさにJリーグ、日本田表のの悪いところそのまんまで、しかもイージーミスが多い。これを客観的に見るのは辛いなと感じる。


 金古は4バックのセンターとして危なげないプレーをする。正直、この程度の相手なら金古の能力はオーバースペックだと思うが、ディフェンダーだと評価が難しい。いくら無難にこなしていても守備力とは相手のフォワードの決定力との比較になるのでなんとも言えない。お互いノーアイデア状態で攻撃しあっているのを見ると眠くなってくる。昨日は終電まで仕事でほとんど寝ておらず、今朝は朝早くから来星(シンガポールに来ること)してきたので、疲れているのもある。比較で言うとJFLクラスか・・・・。ACLでシンガポール最強のアームドフォースFCが鹿島に0-5でチンチンにされたのを見ると、それが妥当なのだろう。


 前半が終了し、金古は同じチームのMF中村と一緒に引き上げる。二人で真剣に話し合っているのを見ると、他の選手との意識の違いを感じてしまう。ここで終わるわけにはいかないというものはあるのだろう。


 後半、金古はラインを上げ攻めに回るが、相変わらず点は入らない。サイド攻撃をしかけたりもするが実らない。これは引き分けかなと思った試合終了前、ディフェンスとキーパーの意思疎通のミスからタンピネスは失点してしまう。0-1でヤングライオンズの勝利。はあ。


 なにかこう・・・がっかりしたものを感じる。別にタンピネスを応援していた訳ではないが、トボトボと下を向いて歩く。スタジアムの外はオフィスビル街で、日本で言うと浜松町駅前と言った感じである。ビルの前は大通りで車がひっきりなしに走る。勤め帰りのOLが早足で歩いている中、駅に向かっていると、ついさっきまで試合を観ていた気がしない。


 タンピネス駅に戻り、MRTに乗車する。今日のホテルはシンガポールの中心部、ブギス駅の近くで、ここから約20分ほど。シンガポールは東京23区程度の面積しかないので端から端まで移動しても一時間程度しかかからない。ブギス駅を降り、再開発の駅前を抜けると目指すホテルはあった。シンガポールの夜は遅い。ホテルの前はローカルなビアガーデンになっている。私はチェックインすると、ここでビールを飲んだ。世界中で有名なシンガポールのタイガービールは大瓶でS$6。少し高い。ビールを飲み終わるとホテルに戻り、サッカーチャンネルを見る。ワールドカップ南アフリカ予選、ブラジル対ベネズエラの試合を90分観た後、シャワーを浴びて就寝。明日の予定はSリーグを見る他は何も決めていない。さて、どうしよう。


つづく

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