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2009.9.14

3日目:ラーキン・スタジアム

観戦記

初日
Sリーグを見に行こう!
頑張れ!金古聖司
2日目
怪しいマッサージ
3日目
ラーキン・スタジアム
Sリーグ優勝
4日目
Sリーグ最終日
5、6日目
さようならシンガポール

前回からの続き

 
 午前9時起床。狭いシンガポール島に4泊もするので一日がゆっくりと使えるのが嬉しい。テレビでワールドカップ予選、ドイツ対フィンランドの試合を観戦する。グダグダと午前中一杯は寝る。幸せ。

 今日は国境を越え、マレーシアに行こうと思う。昼過ぎに地下鉄でウッドランズ駅に向かう。シンガポールとマレーシアは「コーズウェイ」という橋1本で結ばれていて、シンガポール側の国境の起点になっているのがウッドランズという地区である。対岸の都市はマレーシアのジョホールバル。そう、98年ワールドカッププレーオフの舞台、ジョホールバルである。そこに行きたかった。


大きな地図で見る

 ウッドランズの駅前から950番の路線バスに乗る。シンガポールの交通機関は「EZリンクカード」というICカードを購入すれば、デポジットした分だけ乗車できるようになっている。日本の「SUICA」と全く同じだが、「EZリンクカード」で乗車すると、現金乗車よりも多少安くなるのが特徴である。料金は駅から出国管理事務所までS$1(約70円)だったと思う。何しろカードをタッチすれば普通に乗れるので、料金が幾らなのかよくわかっていない。これはシンガポール旅行中すべてがそうで、残額表示を見て足りなくなったら補充するような感じだった。バスは結構混んでいて、立つことになった。路線バスで国境を越えるのは初めての経験である。

 バスは住宅街をガタゴトと走ると要塞のような建物が見える。ここが「ウッドランズ・チェックポイント」でシンガポールの出国検査が行われる。建物はすべて撮影禁止でカメラや警官がいたる所に配置されている。秘密基地じゃあるまいし、別に撮ってもいいんじゃないかとも思うが、去年の中東で戦車を写してトラブったことがあるのでカメラはしまっておく。


 出国検査自体はあっさり終わり、パスポートに出国印がおされて解放される。バス乗り場はジョホールバルに向かうバスが沢山待機していて、どれに乗っても良い。バスに乗り込むとすぐに発車し、コーズウェイという橋を渡り始めた。橋と言っても埋め立てられた道路で、正確に言うと土手である。


 コーズウェイは混んでいるという話を聞いていたが、思っていたよりも空いていた。バスの客は女子中高生やOL、一般の主婦と言った、まさに普通の路線バスでとても国境を越えているような気がしない。橋を渡り終える頃、前方に再び要塞のような建物が見えてきて、バスはその中に入った。マレーシアの入出国審査所である。ここも新しく出来たばかりのようで、壁も床も真新しい。入国管理所は実に広々としていて待たずに入国できるようになっている。入管職員は私のパスポートをろくに見もせずぺたんとハンコを押して返してくれた。外国に入るときいつも思うのだが、日本人って凄いと思う。


 入管を通るとほとんどの人は外に出る。入管はジョホールバルのセントラルマーケットとつながっていて、マレーシアの買い物をほとんどここで済ませることが出来る。ジョホールバルの物価はシンガポールの7割程度。かなり安いのでシンガポール国民は日常気軽に国境を越え、ここに買い物に来る。


 私はスタジアムに行くのでこのままバスに乗る。バスの執着はラーキン・バスターミナル。ラーキン地区はジョホールセントラルの北5キロ程度にあり、スタジアムもここにある。バスは高速道路を幾ばくか走り、5分後に到着した。終点なので全員降りる。


 ラーキンバスターミナルは、いかにも東南アジアと言った感じでゴチャゴチャ、猥雑な雰囲気を出している。私は両替所で1000円札を1枚、マレーシアの紙幣に両替した。1リンギ=28円程度だったと思う。両替所の近くでタクシーを見つけ、ラーキンスタジアムに行くよう告げた。タクシーはすぐに走り出した。


老獪な運転手はニホン、イラン、2-1ね。と上機嫌で語る。日本語で話しかける外国人にろくな奴はいないと決めているので適当に聞き流す。5分程度走っただろうか。タクシーはスタジアムに到着した。運転手は500円程度の料金を請求し、さっさと引き返した。


 スタジアムは意外に大きかった。ジョホールバル自身が首都クアラルンプールに次ぐ第二の都市なので大きいのは当然かもしれない。中央入口からピッチまでは解放されていて自由に入場できる。私は中に入った。


 ピッチ、観客席、スコアボード、そのすべてに見覚えがあった。私は12年前の試合を直接観戦してはいないが、テレビ、雑誌などで散々このスタジアムが取り上げられたので、よく知っている。三角屋根が妙に懐かしさを感じる。私はトラックを一周して当時のことを想像してみた。


 ラーキンスタジアムはその後、多くの旅行者が訪れていて、それぞれのサイトで紹介している。多くはとても決戦をやったとは思えない、鄙びたスタジアムだと書かれているが、私としては立派な放送設備と屋根をもったメインスタンド、全席個席の観客席、東南アジアとしては比較的大きな照明灯、そして電光掲示板など、国際試合をやるに相応しい、それ相応の雰囲気をもったスタジアムに見えた。ホーム側ゴールネットに近づいてみる。このゴールネットに岡野がVゴールを蹴りこみ、試合を決めた。そして岡田監督はベンチを飛び出した。当時の映像と目の前の光景はつながらないが、確かに同一の場所であった。私は観客席に登ったり、トラックを走ったりしてしばらくこのスタジアムにいた。マレーシアの時間はゆっくりとすすみ、日が傾いてきた。私は外に出た。





 少し長くいたので日が傾いてきた。私は外でタクシーを拾い、バスターミナルに戻り、そのまま逆の手順でシンガポールに戻った。時刻は18時。これからスタジアムに向かう。Sリーグの強豪、シンガポール・アームド・フォース対センカンの試合を観戦する予定である。

つづく
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