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2012年11月9日(金)

初日1:チョンキンマンションの夜は更けて


(その1)

観戦記

初日
チョンキンマンションの夜は更けて(その1)
チョンキンマンションの夜は更けて(その2)
U-18橫濱FC香港
あやしいマッサージ(香港編)
2日目
南區 vs 日之泉JC晨曦
がんばれ吉武剛
3日目
香港サッカー協会
香港スタジアム
最後の試合
4日目
ホームスタジアム
最終日
さようなら香港
 仕事や健康のこともあって、今年はあまり遠征ができなかった。どこに行こうか、予定が浮かんでは消え、ただ等々力や三ツ沢を往復するだけの週末を過ごしてきた。別にそれでも問題はなかったのだが、手持ちのマイルが有効期限切れになりかかってきたので少し本気で遠征計画を立ててみようと各都道府県のサッカースケジュールを調べて行くうちにとあるニュースが飛び込んできた。


 「横浜FCが香港にサッカーチームを開設する。チーム名は横濱FC香港。2012-13年シーズンより香港リーグに参戦する」


 最初にこのニュースを聞いたときの率直な感想は「よくそんな金があるなあ」といった程度で、特に関心はなかった。むしろ同時期にリリースされた女子サッカーチームの開設と相まって、「まあ好きにやれば」程度のものだったと思う。しかし続いて発表されたニュースは私の行動をかき立てる物だった。


 「元横浜FCの吉武剛が横濱FC香港の選手として加わる」


 チーム創設以来の横浜FCサポーターであれば彼の名前は誰でも知っている。端正な顔立ちと相まって、サポーター、特に女性には絶大な人気があった。横浜FCを契約満了で退団した後はヴェルディに、そしてアメリカに行って現役選手として活躍しているのは知っていたが、まさかこのタイミングで香港に行くとは思わなかった。彼のプレーを見てみたい。よし、香港に行こう。私の日程はここで決まった。


 香港に行くのはいいのだが、こういう女性に人気のある観光地は特典航空券の予約は取りづらい。JAL便の場合、行きは夕方日本発、帰りは午前中香港発と言ったうまみのない便しかとれない。仕方がないので提携航空会社のキャセイパシフィックを予約する。日本航空より2000マイル多く必要だが、行きは午前羽田発、帰りは夕方香港発羽田着の便を予約できた。問題は宿である。


 香港は国土が狭い割には世界有数のビジネス街兼観光地なのでホテルの料金が非常に高い。インターネットの予約サイトを検索しても安いのは国境を越えた深圳市しかない。3泊するとして、毎日国境を越えるのもなあ・・・と考えていたら4泊1600ドル(約1万7千円)というコースを見つけた。安すぎるような気がするが、一つ星だしまあいいだろう。会社は休みを調整し、香港リーグの日程も確認して予約完了。あとは出発するだけである。11月9日午前8時。久しぶりにワクワクする気持ちで自宅を出た。乗るのは羽田10時45分発CX543便香港啓徳空港行き。香港までは5時間の旅で、海外としてはそれほど遠くはない。新幹線を使って九州に行くよりもずっと近い。。


 香港はトランジットでの宿泊で入国したことはあるのだが、観光を目的に来るのは初めてである。そのため珍しく「地球の歩き方」ではなくて「るるぶ 香港・マカオ」を買ってみた。おいしい物も食べたいし、買い物もしたいし、マッサージもしてみたい。ぶっちゃけ、一般女子と考えることは同じようなものだ。

 とりあえずガイドブックを読んで行きたい観光地のあたりをつる。そしてホテルにチェックインをするために住所を確認した。・・・・予約後どころか、飛行機に乗ってしまった上で気づくのもなんなのだが、そこには恐るべき建物が指定されてあった。

「D4, 17/F, Block D, Chung King Mansion, 36-44 Nathan Road, Tsim Sha Tsui, Kowloon, Tsim Sha TsuiHong Kong, 」

・・・・・まさか、と思い、もう一度住所を読み返す。

「D4, 17/F, Block D, Chung King Mansion, 36-44 Nathan Road, Tsim Sha Tsui, Kowloon, Tsim Sha TsuiHong Kong, 」

・・・・・・え・・・・ひょっとして、「あの」、重慶大厦か?!!!


 よくわからない人のために説明しよう。世界中の貧乏旅行者御用達の町、御用達の宿というものがある。シドニーのキングスクロス、バンコクのカオサンロード、東京の山谷などが有名だが、香港の重慶大厦もその一つである。重慶大厦は「チョンキンマンション」と読む。一言で言えば安ホテルが密集した雑居ビルであるが、ただの雑居ビルではない。

 
このビル、ネイザンロードと呼ばれる究極の一等地にある割にはかなりオンボロで、その外観から「第二の九龍城」とか「犯罪の巣窟」と呼ばれ、「一般の」旅行者からは近づくこともはばからない魔窟のような場所とされていた。もっとも一階にある外貨両替商は銀行やホテルよりもレートがよいので、旅慣れた旅行者達は重宝していたようである。私も両替するときはここにしようと思っていた。しかし、まさか泊まるとは思っていなかった。


ちなみにチョンキンマンションの写真を見たい方はこちらをクリックしてください。(別ウィンドウが開きます)

 まあしょうがない。私は今まで世界各国を旅行してきて、この手の安ホテルに泊まることは慣れている。鬼が出るか蛇が出るかわからないけれど、寝泊まりする分には問題はないだろう。快適かどうかは全くわからないけどね。機内食を食べ終わって少しウトウトしかかってきたころ、飛行機は無事香港啓徳空港に着陸した。


ここでMTRに乗り換え、九龍に行く。九龍からは各有名ホテルへの無料バスが出ている。チョンキンマンションのすぐ近くにペニンシュラホテルがあるので、この無料バスは有効に利用できる。バス乗り場に行くと職員が「どのホテルに行くのか?」と聞くので「ペニンシュラホテル!」と堂々と叫ぶ。職員は丁寧に私の荷物をしまってくれた。少し気分がよい。もっとも私が向かうのはペニンシュラホテルの10分の1の料金で泊まれるチョンキンマンションであるが。無料と言っても距離にして2キロ程度。10分ほど走ると、19世紀からの偉容を誇るペニンシュラホテルに到着した。その荘厳な姿を横目に見ながらバックパックを抱えてとぼとぼと歩く。5分ほど歩くとこれから4泊のお世話になるチョンキンマンションが見えてきた。その姿を見て改めて考えてしまった。うーーーむ。
(続く)
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