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桂林の夜

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 桂林空港を出てすぐに市内行きのバスに乗る。料金は10元(170円)。バスは埃がうずたかく積もっている道路をかき分けて走る。以前から思っているのだけれどもこの国は大丈夫なのか?バスの窓ガラスも埃で曇っていてよく見えない。桂林では雨が降っていたらしく、路面は濡れている。天気予報を見ると明日も雨らしい。概ね覚悟をしていたけれど、雨が降ると観光の意欲が失せる。晴れていても雲がかかったような土地なので、雨が降るとますます外が見えなくなる。桂林特有のカルスト地形が広がっていく。ニョキニョキという表現が適当な山々は見ているだけでも楽しい。桂林は世界遺産ではないけれど、中国政府認定の特A級観光地だけあって、これだけでも見るに値する。40分ほど走るとバスは終点の桂林民航ホテルに到着した。これからホテルに向かう。


 ここからホテルまで距離があるのでタクシーを使う。が、タクシーはなかなか捕まらない。桂林に限った話ではないが、中国の中堅都市はタクシーが不足していて、夕方や雨などではなかなか捕まらない。なんとか休憩中の運転士を捕まえ、目的地の住所を見せる。運転士は「30元」(約500円)と紙に書いた。普通に走れば10元だがら3倍以上の料金である。あきらかにふっかけているのだが、疲れているのでそれを受け入れ、タクシーを走らせた。5分程度で到着する。紙幣をたたきつけるように渡して外に出る。亜熱帯気候特有の蒸し暑さが肌にまとわりつく。この気候でコートを着込んでいるんだから傍目には馬鹿としか見えないだろう。自分でもそう思う。


 ホテルは青年旅社、つまりユースホステルで値段は140元(約2000円)。ユースといっても蚕棚のような二段ベッドではなくちゃんとしたツインルームなので、この値段なら満足である。バスターミナルの方に行けば60元とか80元とかの安宿はあるのだが、もう値段勝負で宿を決められるような体力はなくなってきている。まあその分だけ年をとったということであるが。受け取ったキーは電子キーで、ベッドは清潔、エアコンとシャワー付き、これで2000円なら文句はない。私は荷物を床に放り投げ、少し横になった。



観戦記

2月22日
貴州とは何処にあるのか?
4月12日
まずは桂林へ
桂林の夜
4月13日
不手際

 横になりながら明日の日程を考える。今日は土曜日で試合は火曜日である。日、月の2日間は完全にフリーで何処に行ってもかまわない。本当は桂林からバスで山を越えて貴陽にいくつもりだったのだが、明日の天気予報は雷雨とのこと。私はフロントに行き、桂林船下りツアーを申し込んだ。雷雨の中、山を越えてる途中に土砂崩れにあう可能性はそれなりにあったし、やはり桂林まで来たら世界的名所のカルスト山系は見てみたかった。ユースホステルはツァーの窓口もやっていて、ホテルピックアップで420元(約6500円)。かなり高いが、桂林川下りツァーは外国人用と中国人用にわかれていて、中国人は260元(約4000円)と安い。値段違いはランチの質で、乗る船は同じようなモノらしい。なんだかなと思うが、中国人に混じって安いツァーにもう仕組むのも面倒くさいの、でこのコースを予約した。


 腹が減ったので外に出る。ホテルは湖沿いにあるので風が気持ちいい。雨が降っていたらしく路面が濡れている。ここは町の中心部から少し離れているので店は少ない。30分ほどてくてく歩くと中華料理屋があったのでそこに入った。中は混んでいたが小姐は愛想良く案内してくれた。日本語のメニューなどあるはずもないので、メモ帳で会話をする。肉とか牛とかいろいろ書きながら会話をする内にこちらの意図がくめたのか、大きく頷いて厨房にオーダを出した。時計は夜8時を回っていた。


 出てきた料理は日本でいうところの青椒肉絲であるが、これがまたメチャクチャ辛かった。私は日本のカレーレストランチェーンであうrCoCo壱番屋で6辛のカレーを普通に食べることができるが、それをもってしても辛かった。にじみ出る辛さとか、うまみを感じる辛さとか、そういうレベルのモノではなく、ストレートに脳に突き刺さるような辛さだった。桂林は辛い湖南料理の流れがあるので、その影響かもしれない。私は肉を一口食べてはご飯を二口食べ、水を飲みながらなんとか食い切った。一時間程度はかかっただろうか。食べ終わったときにはシャツが汗でグッショリと濡れていた。料金は40元(約700円)程度。中国の物価としては高く感じる。インフレと円安の影響だろう。




 食べ終わったので、市街地まで歩いて行く。疲れたのでマッサージ屋に行こうと思う。スマホの地図で「MASSAGE」と打ち込むとたちどころに十数個表示される。今まではタクシーに乗って直接案内して貰っていたのが、自分で地図を見ながら行けるようになったのだから便利な時代になったと思う。GPS連携で自分がどこにいるのかもたちどころにわかるから迷子になる心配もない。もっともそこがどんな店なのかは行ってみないとわからないのは仕方がないが。


 電気街の地下に「按摩」の看板が出ているので入ってみる。多少の怪しさがあるが、こういう店が地下とか2階とかにあるのはアジア共通で、もうなれた。どうせピチピチの服を着たお姉さんが「スペシャルマッサージをやるか?」と聞いてくるのだろうが、まあどうでもよい。


 受付には遠い昔はピチピチだったのかもしれないオバさんがお茶を飲みながらテレビを見ていた。ニコニコしながらメニューを見せる。90分で120元(1600円)の全身コースを頼んでみる。オバさんは奥の部屋に案内し、とりあえず脱いで寝ていろと指示を出した。寝間着などはないらしい。とりあえずパンツ1枚になってベッドに寝そべった。


 ピチピチの服を着たお姉さんが来るのかと思っていたが、来たのは件のオバさんだった。・・・・まあいいけど。オバさんは中国語を早口でまくし立てながらいろいろしゃべるが、当然ながら私はその全てが理解できない。まあこのようなマッサージサービスではやることは世界共通なので意思疎通にはそれほど困らない。それよりもオバさんとは言え、一応女性である人にパンツ一丁で体を揉ませるというのはどうなのだろう、と考えてしまう。まあ恥ずかしがるような年でもないのでまあ、いいかと思う。


 中国の、というより日本以外のマッサージ店は日本より強く揉むのが普通で、慣れないと悲鳴を上げたりするのだが、私は慣れているので特に問題はない。むしろ強くないと不満が残るようになってきた。年を取ったのかもしれない。


 90分といいつつ、2時間もかけてマッサージし、終わった頃はもう11時近かった。いい加減眠くなる。そのタイミングでオバさんは個室の外に出て、入れ替わるように妙齢の女性が入ってきた。中国語と片言の英語でいろいろしゃべってくる。何言っているかわからないが、ようはスペシャルマッサージをやるかと言いたいのだろう。別に期待してはいなかったが、もう時間が遅い。何をいまさら、という気がするが、丁重にお断りする。非常に残念がった表情をするのでいくばくかのチップを渡して外に出た。マッサージ中に雨が降ったようで、路面が濡れていた。ここは桂林の中心部だが、人通りもめっきりすくなくなった。私はそそくさと宿に戻った。明日は桂林川下りである。
(続く)
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