午前7時、チェックアウト。外は大雨である。この3日間、常に曇りではあったがなんとか持ちこたえてきたが、最後の日で雨。まあ、仕方が無い。ホテルの裏にあるタクシー事務所に行って蔚山駅まで乗せてもらう。韓国人の朝は早い。市庁に向かう道路は混み始めている。渋滞にはまりかけているので少しイライラしたが、列車の出発時刻にはギリギリ間に合った。蔚山発7時30分、特急セマウルソウル駅行きは既に入線していて発車をまっている。
今日は大田(テジョン)で観戦する予定である。今乗っているセマウル号は午前11時に大田に着くが、私はそのまま乗り続け、ソウルまで戻る。ソウルに戻るのは韓国Kリーグのユニフォームを手に入れるためである。私はユニフォームやスカーフ(Jリーグで言うマフラー)を集めており、韓国Kリーグのチームのユニフォームがどうしても欲しかった。一昨日の釜山、昨日の蔚山でも探してはみたのだが見つけることができず、やむをえずスポーツウェアのメッカソウル東大門市場で買うことに決めた。
列車は東海(日本海)を離れ、大白山地を抜けて大田に着く。ソウルまであと150キロ。コリアレールパスを持っているとはいえ、半日かけて1往復する自分が馬鹿馬鹿しい。しかも今日のホテルはソウルのYMCAホテルである。何をやっているのだか。昼時になったので食堂車で時間を潰し、午後1時30分ソウル駅着。地下鉄で鐘閣駅に移動し駅前のYMCAホテルにチェックイン。初日に泊まったホテルである。そして東大門市場に到着。ここで買い物に費やせる時間はわずか30分。急いで買わなければならぬ。
東大門市場は衣類を専門に扱うところであるが、近年はサッカーユニホームを扱う所が多い。その多くはパチモノでどの店もプレミアや各国代表のユニばかりで肝心のKリーグはない。ニセモノ屋の一つに入り店のオヤジに「Kリーグのユニフォームはあるか?蔚山現代とか」と聞くと「Kリーグなんて興味はない。そんなの誰も見ない。Jリーグならテレビで見るぞ。ジュビロとか・・」と私に磐田のユニフォームを売りつける(もちろんパチモノ)。がっかりして店を探す。東大門には案内所があるのでそこで聞いてみようとしたところ、目の前にヒュンメル専門店があり、その中に蔚山現代のユニフォームがあった。
私はヒュンメル製の横浜FCのレプリカを着ている。店の主人は私の格好を見て非常に驚き、日本にもヒュンメル製のユニフォームがあるのか・・としげしげと眺める。蔚山のユニが欲しいと手に取ったところ、愛想よく売ってくれた。3万5千ウォン(3千5百円)。日本のレプリカよりもだいぶ安い。ヒュンメル専門店だから本物であろう。ここでの目的は果たした。ホッとすると疲れが一気に襲ってきた。でもすぐに大田に戻らなければならぬ。
ダッシュでソウル駅に戻り、ホームに下りる。ソウル発15時30分の釜山行きの改札ははじまっていて乗り込むと同時にベルがなり、発車した。今回の韓国旅行は急いでばっかりである。まあいいけれど。
4日前に通った線路、ついさっき戻った線路をもう一度走って17時10分大田駅着。大田ワールドカップ競技場は市のハズレにあり、ここからはかなり離れている。タクシーで行けば確実なのだが、私はインフォメーションでバスによる行きかたを聞き、バス停に並んだ。
バスはなかなか来なかった。20分くらいまっただろうか、やっと来たバスは満員。40分位で着くよ、というインフォの言葉を信じていたが、バスは数百メートル毎に停車を繰り返し中々前に進まない。もうボチボチつくだろうと窓の外を見ると「ワールドカップスタジアムまで8キロ」の看板を見つけ、ひっくりかえる。乗客はバス停ごとにドッと降り、同じ位乗る。温泉街を抜け、さらに走ること20分。やっとワールドカップスタジアムについた。時間は7時10分。キックオフには間に合わなかった。みんなダッシュでスタジアムに入る。
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