マドリードに着くまで4時間、結構辛い。何よりこの姿勢だと対衝撃姿勢が取れない。この飛行機は大丈夫なのだろうか。マドリード行きの飛行機はイリューシンを期待したのだが実際はエアバスA319。知らない型番だ。エコノミーは3列+3列で、ボーイングB757とほぼ同じ。欧州内路線の標準ともいうべきものなのでこれでいいのだろう。私は真ん中の座席なので前後左右で身動きが取れない。地獄である。スペインはモスクワから2時間遅れ。私はさらに時計を戻す。
モスクワを離陸して3時間半。飛行機は徐々に高度を落とす。路上の明かりが窓に飛び込んでくる。初めて見るスペインの夜景は高速道路の橙色灯だけ。それ以外は闇である。カスティーリャ地方は赤茶けた大地だからこういう景色となるのだろう。飛行機はさらに高度を落とし、いきなり大都会のビルに包まれて定刻22時15分、マドリード・バハラス空港に到着した。
マドリードは夜は快晴。空気が乾いている。気温も低い。私はタクシーに乗り、予約してあるホテル名を告げ、急いだ。本当ならバスに乗ったほうがずっと安いのだがマドリードは治安が悪い。世界における日本人の犯罪被害の3割、ヨーロッパ内の7割がマドリードで発生している。マドリードまで20ユーロ。この程度ならタクシーの方が安い。
20分ほどでホテル着。王宮の近くと言う恵まれた場所であるが深夜なので関係ない。繁華街の真ん中なので、怪しい外国人も結構いる。部屋はバス着きのダブルベッド。部屋は清潔で大きく、ピンクの内装が綺麗。日本円で1万円ちょうどだった。この先このクラスのホテルに泊まることはない。私はまずバスに入り、最初で最後の「高級」ホテルの感触を味わい寝た。明日から毎日がサッカー観戦の日々である。(翌日に続く→)
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