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第3節 全南ドラゴンズ 対 川崎フロンターレ


(光陽:大韓民国)

第1日:全南ドラゴンズ-川崎フロンターレ

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第1節 アレマ・マラン-川崎フロンターレ

第2節 川崎フロンターレ-バンコク・ユニバーシティ

第3節 全南ドラゴンズ-川崎フロンターレ
第1日:韓国へ
第1日:全南ドラゴンズ-川崎フロンターレ
第一日:光陽の夜
最終日:飛行機に乗り遅れる

第4節 川崎フロンターレ-全南ドラゴンズ

第5節 川崎フロンターレ-アレマ・マラン

第6節 バンコク・ユニバーシティ-川崎フロンターレ

準々決勝 セパハン-川崎フロンターレ

準々決勝 川崎フロンターレ-セパハン

ACL総括

 スタジアムの周囲は屋台が結構出ていて試合のある空気を醸し出してくれる。焼き鳥なんぞを焼いていると、うまそうでつい買ってしまう。ビールやおつまみなんぞ買ってしまうと戦う以前に負けてしまっている感じがして自己嫌悪に陥る。

 チケットは7000ウォン(約1000円)。全席自由、というあたり、全南はサッカーで食っていこうという気持ちがないのがわかる。JFLの企業チームのようなもので、POSCO社の福利厚生チームなのだろう。

 スタジアムは古いがすばらしい作りだった。ラグビーの使用を考慮していない、完全なサッカー専用スタジアムでゴール裏とゴールが近い。スタンドの傾斜も適度に急で、どの席に座っても見やすい。電光掲示板もオーロラビジョンがあり、プロリーグを開催するのには何の差し支えもない良いスタジアムだと思う。

 しかし観客はいなかった。試合開始1時間前を切っているのにだというのにお客さんは殆どいなかった。私が光陽市内に着いたとき歓楽街は人が出ているので平日だからというのは理由にならないだろう。


 全南サポーターは数人程度で怖さが全くなかった。その割には横断幕が結構出ているのが笑える。横断幕には漢字で「全南3-0川崎」と書かれあったりして、サポはサポなりに必死なんだなと理解できる。私はサッカーとは煽り合いだと思っているのでこれは正しいやり方だ。等々力を含めてJの多くの会場でアウェイチームを歓迎するアナウンスが流れるが、私は偽善の空気を感じてしまう。試合において敵というのは叩きつぶす為に存在するのだ。

 日も暮れてきたて試合開始時刻が近づく。お客さんがだんだん入ってきた。もっとも全南のサポーターの数はわずかで、日本であれば大抵のJFLチームのサポーターは今日の全南のサポよりも多い。スタメンの紹介が始まり、FIFAアンセムが流れ、試合開始。

 
 試合は一方的だった。試合開始はじめの方こそ全南は押していたが、フロンターレが試合のペースをつかみ始めると急速に怖さがなくなっていった。全南が前半をしのぎ切れればまた違った展開になっていたのだろうが、ジュニーニョにPKを決められるとあとはなすすべがなくなっていった。

 ACLと言っても出場するチームはリーグ戦だけでなくカップ戦王者も出場するわけで、決して最強チームが出るわけではないのは理解できる(川崎だってそうだ)。しかしこの日の全南は明らかに私が知っているKリーグのチームよりも弱かった。韓国のチームだからもっとフィジカルが強いのかと思っていたが、たいがいの競り合いはフロンターレが勝った。フロンターレはクロスが良く入ったし、全南は技術レベルが未熟だった。

 中盤におけるボールの取り合いであればほぼ互角だと思う。しかし全南がボールを奪い、川崎のペナルティエリア前間できてもそこからのシュートは圧倒的に下手だった。日本のようにくさびを入れることもせず、ヘロヘロとしたシュートが力なく川島の手の中に収まっていくだけだった。全南には元市原のサンドロ、そして日系ブラジル人のサンドロヒロシがいるのだが外国人選手の質を見てもジュニーニョやマギヌンの方がずっと上だろう。

 前半1-0とした時点で川崎には余裕が生まれていた。もっともサポーターとしてはフロンターレは今まで勝ちの見えていた試合を終了間際でひっくり返されているのを何度も見ているので誰一人として楽観視していない。しかしフィジカルが強く、汚いと言った韓国チームの特徴はこの全南には見なかった。後半も川崎が圧倒的なペースを握り、追加点を入れる。試合終了間際に1点返されたがご愛敬と言って良いだろう。全南の選手は必死で攻める。川崎は余裕で受け流す

 サポーター達は歌う。「アバンテー・・オオ川崎ーオ、ララーラララーララーラー♪」アウェイゴール裏の100名を越える川崎サポーター達は静まりかえったホームゴール裏を完全に支配し、自分たちだけのスタジアムを作り上げた。。今まで韓国のクラブチームに煮え湯を飲まされ続けた川崎に取って、それは至福の光景だった。

 試合が終わり、川崎の選手が挨拶に来る。大一番を制し、みんなうれしそうにやってくる、それを全員で出迎える。国際試合に勝つというのはこんなに楽しいものなのかと改めて感じる。

 もっと至福の気分を味わいたかったが、アウェイの地はそれを許してくれなかった。試合が終わるとすぐにオーロラビジョンの明かりが消えた。選手が控え室に入ると同時に照明が落ちた。かすかに残った灯りを頼りに撤収をせねばならない。驚いたことにゴール裏出口は完全に閉鎖されてしまっていた。メインスタンドコンコースに出たが、ここも封鎖されている。韓国のホスタピリティの無さにむかつきながらみんなで出口を探す。メイン中央、貴賓席のあたりにスタンドを降りる階段を見つけ、勝手に降りていった。

 それはスタジアムエントランスに続く通路だった。出入り口には記者やテレビクルーが大挙して待っている。完全に場違いだが私たちの知ったことではない。正面入口から堂々と出た。ほっと一息ついた。しかし本当の困難はこれから始まるのだった。

 
(続く)
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