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第2節 浦項スティーラーズ 対 川崎フロンターレ


(韓国:浦項スティールヤード)

2日目:ここはどこだ!

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第1節 川崎フロンターレ-天津泰達

第2節 浦項スティーラーズ-川崎フロンターレ
初日
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浦項対川崎フロンターレ
2日目
ここはどこだ!
3日目
さようなら韓国

第4節 
川崎フロンターレ-
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第5節 
天津泰達-川崎フロンターレ

第6節 
川崎フロンターレ-
浦項スティーラーズ

準々決勝第一戦 
川崎フロンターレ-
名古屋グランパス

準々決勝第二戦 
名古屋グランパス-川崎フロンターレ


(前からの続き)


 2日目。今日も快晴。去年もそうだが、この時期に韓国に行くといつも晴れている。雨の降らない季節ではなく、行った日は雨が降らないという、運のいい旅行になっている。旅行の楽しさは天気に左右される面が大きいのでそれは韓国の印象は大変良い、ということになる。個人的にはなんだかなあという気持ちがあるが、気にしない。

 モーテルをチェックアウトして浦項バスターミナルに行き、慶州までの切符を買う。運賃は2400ウォン(約160円)。JRの初乗り程度の運賃ですらクレジットカードで買うのはなんかこう・・・微妙に悲しいものがあるが、仕方がない。バスは頻発していて、私が乗り込むとすぐに発車した。


 慶州は山間の小さな街だが紀元前からある古都で、市内にある寺や仏像は世界遺産に指定されている。いわば観光地であるが、バスターミナルに着いてみると、静かで落ち着いた街だった。バスターミナルの前に大きな川がゆっくりと流れている。川の両岸は遊歩道になっており、風景にとけ込んでいる。世界遺産の建物はここからずっと離れたところにあるけれど、一般道を普通に歩くだけでも楽しめる街である。もう少しゆっくりしたかったが、バスターミナル前のタクシーに乗る。


 タクシーで向かう行き先は慶州総合競技場。Nリーグの慶州FCのホームスタジアムである。場所についてはよく知らないけれど、市内にあるのは間違いないのでそれほどかからないだろう。案の定、5分程度走ると体育館が見えてきた。その裏に競技場があった。





 慶州総合競技場は典型的な韓国の陸上競技場で、特に印象づけるものはなかったが、スタジアムはよく整備されていた。座席も綺麗だったしオーロラビジョンもある。照明灯がJリーグ標準と比べるとかなり貧弱だが、日本で言うJFL相当のリーグならばこれで充分だろう。というか、Jリーグの基準が厳しすぎる。


 帰りのタクシーをどう呼ぶかが問題だったが、バスターミナルまでそれほど遠くないので歩いて帰る。近いからと言うのもあったがタクシー代を節約したいのが本音だった。200円程度のタクシー代をケチるというのも情けないモノがあるが。もっとも慶州の景色は本当に良く、川沿いに歩くのは良い散歩になる。川が綺麗で川床も見えるので、ウォーキングには最適だろう。負け惜しみではなく、本当にそう思う。


 バスターミナルに戻り、次に行く場所を思案する。慶州から最も多くの便が出ているのは釜山であるが、私は密陽(ミリャン)に行くことに決めた。密陽は韓国の中でも奥まった中にある。もっともKTXの駅があるので秘境というほどでもないが、歴史的に重要な建築物のある古都の割には当の韓国人も知らない街である。慶州から密陽までのバス代は3000ウォン(210円)。クレジットカードが使えるのは嬉しい。


 バスは高速をしばらく走ると一般道に降り、山の中をクネクネと走り始めた。もうお昼近い。いい加減腹が減る。山道を登ったり降りたりしながら12時過ぎに密陽着。バスターミナル前に駐車しているタクシーに乗り総合競技場に行く。


密陽は山にへばりついたように広がる街である。密陽総合競技場は坂の中腹にあった。バスターミナルから基本料金で行けたが行きは登り坂なので歩くとキツイだろう。競技場の隣は市庁で、結構人の出入りがあった。競技場はまだ新しかった。韓国はいま競技場の建設ラッシュであちこちで建てられている。作った後の採算というのを考えていないので何でも作れるのはサッカーファンとしてはうらやましい。国民としてみればどうなのかとも思うが。






少し密陽を観光した後、バスターミナルに戻る。今度は馬山(マサン)市に行く。馬山は対馬海峡に面した街で、2年ほど前、島根県の「竹島の日」に対抗して「対馬の日」を制定した自治体である。数百年前に馬山港から対馬に征伐に出かけたから対馬は韓国領だ、というのがと主張らしい。馬鹿馬鹿しいのを通り越して笑ってしまうような論拠だが、この辺が韓国の韓国たるものなのだろう。どういう街なのか行ってみる。馬山まではバスで1時間半。運賃は5200ウォン(約400円)。クレジットカードは使えず現金のみの支払いである。


 馬山は港湾都市で人口が多い。例によって、競技場に行くので、バスターミナル前のタクシーに行き先を告げる。しかし距離が近いせいか、みんな断る。仕方がないので流しを捕まえる。馬山総合競技場までは基本料金で行ける距離だが渋滞に引っかかってしまったため少しメーターが回り、2800ウォン。(200円)。たいした値段ではないが。微妙に痛い。





 馬山バスターミナルに戻ったあとは昌原(チャンウォン)に行く。昌原は馬山と釜山の間にあり、馬山から15キロ程度の距離にある。バスターミナルの窓口に行って切符を買おうとしたら、市街バスに乗れと言う。馬山、釜山、昌原は三都市相互協定があって、お互いにバスが乗り入れている。


 バスターミナル前にあるバス停で来るバスごとに行き先を確かめる。3台目のバスが昌原に行くとのこと。1000ウォン(70円)払って乗り込む。あとは昌原に到着するのを待つばかりである。一安心、と言ったところであるが、時刻は午後5時。韓国の夕暮れは日本よりずっと遅いとはいえ、結構暗い。昌原総合運動場へはあと30分以内には着きたい。かなり微妙になってきた。


 行き先が昌原なのは良いのだが、問題は時間である。このバスはごく普通の市内バスで、バス停ごとにきっちりと停まる。停まるたびに女子高生が乗り、入れ違いで降りる。日本人が乗るのは珍しいことなのか、ちらっと目が合う。すぐに顔を背ける彼女達を見るのは楽しいことだが、外は確実に暗くなっていった。


 少し疲れてきた。少し寝る。まどろみながら外を見ていると、市街地を通り過ぎたような・・・気がする。かまわず寝る。いつしか乗客はいなくなってきた。


 ふと我に返る。バスは大きなバイパスを通っている。微妙に不安になったので、次のバス停に停車したときに運転手に聞いてみた。運転手は「何で今そんなことを聞くんだ」とばかりに「※◎×▲!!!」と私に向かって大声で叫んだ。要は通り過ぎてしまったらしい。


 運転手はメモを取り出し、いろいろ書いて私に手渡してくれた。それは嬉しいのだがハングルなので何を書いてあるのか全くわからない。「121」という数字だけが読み取れる。運転手は「降りろ」というので、降りた。バスが発車すると、閑散とした大通りに私は取り残された。人通りはない。




「ここはどこだ?」




私は眠気も飛び、我に返った。


続く)
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