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準々決勝第一節 セパハン 対 川崎フロンターレ


(イスファハン:フーラッド・シャースタジアム)

5日目:ペルセポリス

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第1節 アレマ・マラン-川崎フロンターレ

第2節 川崎フロンターレ-バンコク・ユニバーシティ

第3節 全南ドラゴンズ-川崎フロンターレ

第4節 川崎フロンターレ-全南ドラゴンズ

第5節 川崎フロンターレ-アレマ・マラン

第6節 バンコク・ユニバーシティ-川崎フロンターレ

準々決勝 セパハン-川崎フロンターレ
はじめに:イランという国
初日:出発まで
2日目:イスファハンへ
3日目:試合開始前までのこと(前編)
3日目:試合開始前までのこと(後編)
3日目:セパハン-川崎フロンターレ
4日目:イラン・プレミアリーグ
5日目:ペルセポリス
6日目、最後の夜
7日目:さようならイラン

準々決勝 川崎フロンターレ-セパハン

ACL総括

(前日からの続き)

  9月21日。今日はイランのどこかに行ってイランリーグ2日目を観戦する予定だった。しかしさすがに疲れが効いてきた。飛行機はどこも満席なので、バスの移動になるが、シーラーズはイランの西端に近く、どこに行くにも8時間くらいは乗らなければならない。テヘランなどは16時間もかかる。さすがにそれは辛いのでおとなしくシーラーズで観光する。


 前にも書いたが、シーラーズは本来はイラン一級の観光地で、ここに観光に来る人のほぼ100パーセントはサッカーなんぞは興味はない。逆に私はサッカーが見られれば観光なんぞどうでも良い。この辺が私と一般の旅行者との感覚にズレが出るところで、なかなか理解を得られない。考古学に興味がある人にとってはシーラーズなどは死ぬまでに一度は行きたいところだそうで、そういう人に「シーラーズに行ったけどサッカーしか見なかった」と言えば殴られるかもしれない。


 ということで今日は観光する。行くのはペルセポリス遺跡。約2500年前の遺跡で、日本では弥生時代に相当する。場所はシーラーズの北60キロ、市内から直通するバスはないので、バスかタクシー、現地ツアーを利用することになる。ホテルの人によると、殆どの日本人はタクシーをチャーターしていくらしい。値段を聞いてみると一日貸し切りで80ドルだそうだ。4人で行けば、一人20ドルで行けるから確かにこちらを選んだ方がよいかもしれない。しかし私は公共バスで行こうと思う。ペルシャ語を理解できない私には困難な道のりが予想されるが挑戦したい。貧乏旅行者にとって80ドルは大金である。


 まずシーラーズのバスターミナルに行く。タクシーで1万リヤル(130円)。バスターミナルの横の敷地にミニバスが待機している。このミニバスがペルセポリスの手前6キロにあるマルブシュタットという町まで行くのでそれに乗る。バス代は5千リヤル(70円)。ミニバスはどれもベンツ製であったが、結構使い込まれている。日本人など滅多に乗らないからだろうが、私が乗り込むと注目を浴びる。前の子供が私をジロジロみる。




 バスは満席になったのを見計らって発車した。バスは小さな車体を揺らしながら進む。マルブシュタットまでは60キロ以上離れているので最低1時間は乗ることになる。それでバス代が70円というのは凄い。


 1時間も乗るので飽きるかと思ったがそんなことはなかった。マルブシュタットで降りるとタクシーが何台かたむろしている。私の他に2人がタクシーに向かっていったので、声をかけて見るとやはりペルセポリスに行くとのこと。3人で運転手と交渉してみると、ペルセポリスまでは2万リヤル(250円)で行くことになった。ペルセポリスまでは15分程度。すぐに着いた。


 入場料を払って中に入る。アテネなどのギリシア建築を思わせる建築物が美しい。最大の特徴は人物の浮き彫り彫刻で、時の王様に献上する絵をこれでもか、というくらに彫っている。このペルセポリスは政治を司る所というよりは各儀式の間のような使われ方をしたらしい。確かに奥にある王の墓を見るとそう思う。


ペルセポリスは世界遺産にも登録されている第一級の観光地であるが、同時に「中東3大がっかり」の一つでもあるらしい。幾つかのサイトにそう書かれているし、実際、私もイランで退屈とか面白くない、という話を日本人から聞いた。でもそういう見方は違うと思う。遺跡見物というのは見る人の想像力に負うものが大きいのではないか。少なくともイスラム教もキリスト教も誕生する数百年も前にここに高度な文明を持った国家があった。目の前の建築物は紛れもなく当時の遺産である。その事実を持って当時の様子を想像する楽しさが遺跡巡りの楽しさだと思う。遺跡というのは概してそういうものだ。


 私は名勝というものに興味がないのでこういう所に行くのはどうか、と思ったが案外面白く感じた。周りは未整地の荒れ地で枯れた原野だけがある。おそらく2500年前も同じであろう敷地の中で半日位を過ごした。タクシーとミニバスを乗り継いでシーラーズに戻るともう夕方になりかかっていた。


 シーラーズは薔薇と詩人の町でもある。残った時間を庭園と廟巡りに費やした。適当に回っている内に日が暮れた。今夜もシーラーズに泊まる。明日はテヘランに戻る。


(続く)


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